乗り換え注意報!

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sideグレイ




左右に立つ長身の双子に思わず舌打ちしそうになり、慌ててそれを飲み込む。

『で、なんで私は連れ去られた宇宙人みたいな感じで連行されてるんですか』
「連れ去られた宇宙人……?あのね、さっきも言ったけど、駅長が昔使ってた空き家があるからー、そこ使って良いよ!って!先代が!」
「これも先ほど言いましたが、中々に広い一軒家なので、手持ちのポケモンも放せると思います。掃除は………少し前に致しておりますのでしばらくは不要かと」

連れ去られた宇宙人はイッシュでは通じないのか。
そうなんですか、と頷いてはみたが、何かが引っ掛かる。

『その家を使ってたのは駅長さんなんですよね?』
「うんそーだよ!」
『なら、なんで先代駅長さんから許可が出るんですか?』
「亡くなられたからでございます」

あっさりと。
何の感慨も無く言い放たれたその言葉に足が止まり、やや遅れてサブウェイマスターの二人も立ち止まった。

『………え、亡くなられたって、それは………』
「言葉の通りでございますよ。駅長は、人身事故により亡くなられました」
「もう何年になるかな、13……12?そりゃぼくたちもサブウェイマスターなんかなってる訳だよねー」

ふふふ、と相変わらず口元だけは笑っているクダリさん、なんでもないように口角を下げているノボリさん。
でも、二人とも眉を潜めてるし………泣きそう、だ。

『お二人、は……どうしてそんな、我慢してるんですか』

気付いたら口走っていた一言。
クダリさんはひょいと俯いた私の顔を覗き込んだ。

「我慢、とは。何の事でございますかグレイ様」
「いきなりどしたの?」
『い、きなりじゃ、ないでしょう!』

ぶん、と顔を上げて、その勢いのまま、クダリさんの頭を思いきり叩いてしまった。
あ、やばい。天下むしろ地下のサブウェイマスター様に何て事してるんだ私は。

『その程度の作り笑いで、私が騙される訳無いです!さっきから、むしろギアステーションで別れた時から、なんか様子がおかしいと思ったらそういう事だったんですか!』

もはや、二人ともポカーンである。クダリさんなんて落ちたキャスケット帽を拾うのも忘れてるし。
しかし、私の口は止まらない。



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