乗り換え注意報!

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sideグレイ



『10年以上前って、二人とも働いてなんかいないじゃないですか!なのに、その駅長さんの事知ってるって、そんなすぐに何年前とか、その、事故……とか、出てくるって、つまりその前から知り合いだったんじゃないんですか?13年経っても、忘れられないんでしょう?少なくとも、そんな定期的に掃除してるってそういう事だと思いますけど!』

頭の中はくるくる回り続ける。あぁ、だから私は天下むしろ以下略にこんな往来で何を言ってるんだって!

『だ、だったら、あたしに気を使ったのかもしれないですけど、少しくらい悲しそうな顔したって良いと思うんですけど!そんななんでもなさそうに話さないで下さいよ!大切な人のことなのに!』
「ぼくだって!!」

びくり。
あたしに負けず劣らず大声を出したクダリさんの両目からは既にぼろぼろと涙が溢れてきている。
あああやばいさっき叩いちゃったの痛かったかなどうしよう!

「ぼくだって、駅長さんに見て貰いたかった!サブウェイマスターちゃんとやってるって、書類も頑張ってるって、すごいねって誉めて貰いたかったもん!」
「こら、クダリ!」
『ノボリさん黙ってて下さい、じゃあそれ誰かに言いました?ずっと誰にも言ってなかったんじゃないですか?』
「言っ、てなかったよ!だってぼくサブウェイマスター!弱音吐いたらダメ!グレイ、なんでそんな事言うの!?」
『貴方には弱音吐ける相手が居たでしょう?サブウェイマスターは偉いから弱音吐いたらダメってんなら、自分と同じかそれより偉い人でも探したらどうなんです!ていうかなんでって酷い事言いますね!?無理矢理同じ職業に就かせたのは貴方たちなのに!その癖関係ないとか言うんですか!?』

そう言い切って、ぜぇぜぇと肩で息をしてると、クダリさんがびっくりした顔でこっちを見ていた。

「もしかしてグレイ、心配してくれてたの!?」
『………だったらどうだってんですか。貴方はノボリさんがいるんだから、ノボリさんに相談すりゃあ良かったんですよ。ノボリさんも!』
「はいっ!?」

突然指命されたからか、びくりと肩を揺らすノボリさん。
ここまで私が言って良いのか分からないけど、纏めて言った方が楽なので言うことにしよう。

『自分がきちんとしなければいけないと思っているでしょう。もう少しクダリさんや、他の職員の人達を頼っても良いんじゃありませんか?………クダリさんは不安ですが』
「酷い!」
「わたくしは………しかし、」
『クダリさんが駄目なら私にでもどうぞ。同じサブウェイマスターになるんですから存分に頼って下さい。…………結局やることになっちゃったか……』

最早諦めの境地に入り、どこか遠くを見つめながら言えば、どすりと何かが突っ込んで来た。
え、何。

「う、うん、だよるっ……!!よろじぐねグレイッ!!」
『はい、よろしくお願いします。すみません叩いちゃって………』

すぐ手が出るのは悪い癖だよ……。
腰辺りに抱き着いてわんわん泣き出したクダリさんの頭を撫でて、ノボリさんも呼び寄せる。
ああぁ、ノボリさんも泣き出しちゃってるよ!
まじごめんなさい!

『ノボリさんも、よろしくお願いしますね』
「は、いっよろしくお願いいたじまずぅ」

ぺこりと下げられたノボリさんの頭も、厚かましいとは思うがぽんぽんと撫でてみた。
結局、私はその後泣き止まないクダリさんと鼻をすするノボリさんと手を繋いでその家とやらに行ったが、やっぱり連れ去られた宇宙人みたいだと思った。



懐かれました
(しかしこの二人、もういい大人だろうに)



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