乗り換え注意報!
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なんと言いますか、グレイ様のバトルは、非常に………言い方は悪いのですが、まるで手を抜いているかのように感じました。
タイプも、知っているはずなのにわざと相性の悪いものを出したりなどしておりました。
しかしそれでも勝ってしまうのですからブラボーと言った他無いでしょう。
『あー、と……ポケモンの回復と、部屋をひとつお願いします。これトレーナーカードです』
「あ、ハイ……ゴールドッ!?」
言っている間にグレイ様は手続きを終わらせようとしています。
その腕を慌てて掴むと、きょとりとした顔でこちらを見られました。あぁ、また、あの瞳。
「お部屋の方ですが、キャンセルして下さいまし」
『はぁ?何言ってるんですかノボリさん』
「グレイ様には、寮………の様な、貸家を無料で使って頂けます。本日はそちらに案内する為に合流致しましたので」
『……なんですかそれ』
逃がさないつもりか、と訴えてくる目線に勿論だと返す。
「定期的に掃除はしております。回復が終わり次第参りましょう」
「そーそー、ぼく達グレイを帰らせるつもり、ゼンゼン無い!何がなんでもオープントレイン乗ってもらうよ!」
ひょいと顔を出したクダリを邪魔だと軽く叩いて溜め息をつき話を逸らす。
「トウコ様はどうなさるのですか?」
「あ、わたしはもう一日ここに泊まって、明日の朝イチで出ます」
「今度は何処行くの?」
「次は………そうだなぁ、もう一回リュウラセンの塔に行こうと思ってます」
「そっか、今度こそ見付かると良いね」
「はい、ありがとうございます!」
わたくし達の会話を仏頂面で聞いていたグレイ様はトウコ様の言葉に首を傾げる。
トウコ様の話はきちんと聞いておられるのですね………
「グレイさーん、お手持ちの子達の回復終わりましたよー?」
『あ、はーい』
「それではトウコ様、また」
「今度はスーパートレイン来てね!」
「はい!でも………グレイさんをあんまり困らせないでくださいよ?」
はい、わかったとそれぞれ返事をし、トウコ様と別れる。
「トウコ、ほんとにグレイの事好きだね?」
「憧れのトレーナーなのでしょう。久々に負けてしまわれたようですし」
「そっか!」
こころなしかわたくしもクダリも、足取りが軽い気が致します。
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