乗り換え注意報!
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noside
「ふぅん………帰って、来ないんだ」
呟いて、男───たった今ポケギアの通話を切ったマツバは、くるりと椅子を回して机の上のパソコンに向かう。
かちかちかち、と慣れた様子でパスワードを打ち込むと、チャットの画面が開く。
千里眼:おはよー
千里眼:皆に速報、グレイちゃんイッシュで就職したんだって
図鑑:なんでですか!?
警官:ちょkwsk
アイドル:えええええ!?
千里眼:君達反応早すぎ
アイドル:やってうちらのグレイちゃんやし
図鑑:ピジョンで3タテされたのが懐かしいよ
千里眼:僕はアリゲイツだった
アイドル:うちは最後の一体まで出したで
警官:どうせメロメロ使ったんだろ?
千里眼:あの時オス多かったもんねグレイちゃんの手持ち
図鑑:あっ違う就職の話
千里眼:そうそう、なんか帰って来ないらしいよ
アイドル:えええええ!?
警官:嘘だろ!?
千里眼:僕もまだ視てないんだけど
警官:確定よろしく
千里眼:いや本人から聞いたし
図鑑:グレイちゃぁああああん!
千里眼:まぁ視てはみるよ。でも疲れてるから明日になるかも
警官:よろしく
図鑑:よろしく
アイドル:よろしゅう
「はいはい、っと」
かたかたかた、キーボードを打ってチャットを閉じる。
「まったく………お金も善意も絡まないで僕の千里眼を使うのなんてグレイちゃんにくらいだよね」
ふふふ、と微笑んでマツバはパソコンの電源を落とした。
現にチャット相手───ジョウトジムリーダーズ若手組は、ほぼ全員がグレイの友達或いはファンで、彼女を大切に思っている。
マツバだってそうで───しかし彼の場合は、経歴のせいで素直になるのはあまり期待出来そうになかった。
「嫌そうな声だったなぁ………ふふ、いじめたくなっちゃうや」
あ、カントー組にも連絡しないと。
そう呟いて、彼はもう一度パソコンを開いた。
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