乗り換え注意報!

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sideグレイ



ギアステーションまでの道のりは、ポケモンセンターから行くよりも少し遠いくらいだった。
だからこそ思ったんだけど…………

『凄い………都会、です………』

最初に降り立ったヒウンシティよりは小さいけど、それでもかなり大きいビル群。そこかしこでちかちかと看板が光り、大通りは沢山の人が行き来する。
しばらくマサラタウンで過ごしてきた私には、なんていうか…………うん。
都会過ぎる。
ちなみに、ポケモンを出してつれ歩くのはイッシュ地方では一般的でないらしい。出しても小さいポケモンを公園とか、決められた場所で運動させるくらいなんだって。
どうしよっかミズハちゃん。君でかいし運動好きだもんね。
そう言って腰につけたボールを撫でると、文句を言うように小さくボールが揺れた。

『で、やっとギアステーション到着ー………疲れたァ』

昨日は15分くらいで帰れたはずなんだけどな。
今日は30分掛かったな。

『あ、駅員さん発見。すんませーんグレイという者ですけどー』
「えっ?あ、ボスからお話は聞いてます!執務室に案内しますね!」

くるりと振り返った駅員さんは、カントー系の顔立ちをした若い人だった。

「僕カズマサって言います。出身はカントーなんだけど、小さい頃にこっちに引っ越して来たんですよ」
『そうなんですか。道理でカントー系の顔立ちだと』
「グレイさんもそちらの出身ですか?」
『私はジョウト地方ですよ。カントーには、バッジ集めの旅に』
「バッジ集め!うわぁ、懐かしいなぁ」
『あ、カズマサさん敬語使わなくて良いですよ?私の方が年下ですし』
「良いんですか!?でも、ボスのお客様なのに……」
『本人が言ってるんだから良いですよ。そのグレイさんってのも止めてください』

そう言うと、カズマサさんは少し驚いて、困った顔をしてからグレイちゃん、と呼んだ。

「これからよろしくね!ただし、グレイちゃんも僕の事さん付けしない、敬語もなしだよ?」
『えー………じゃあカズマサくん、かな?よろしくねー!』
「うん!」

それから、色々話ながら二人で職員専用通路を歩いている。
カズマサさん、いやカズマサくんの相棒はディグダとダグトリオなんだと。懐かし過ぎる。
そしてしばらく歩いた頃だった。

「……あれ」
『ん?』
「ここ………どこだろう」
『…………え?』

不意に立ち止まったカズマサくんの一言で、場が凍った。



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