乗り換え注意報!

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sideグレイ




「ツ、ツンベアー戦闘不能!グレイさんの勝利、です」

驚いた顔でカズマサくんが言った瞬間、辛うじて立ってたアリアもグラリと傾いた。
わー、ほんとギリギリだったんだ!慌ててボールに戻して、ツンベアーと共に備え付けの回復マシーンにセットしておいた。

「中々、強インデスネグレイサン」
『まぁ一応、チャンピオンですし。───さてラムセスさん、反省会をしましょう』

メモ帳とペンをポケットから出してラムセスさんに向き直ると、ちょっと驚いた顔をしてた。横でジャッキーさんが「真面目ですね」と呟いたけど、しょうがないじゃないか。これは数少ない師匠から口頭で教わった事なんだから。

「了解なのさ。確かに反省して次に活かす事は大切だものね」

微笑んだラムセスさんに、では、と遠慮なく行かせてもらう。

『やっぱり、すなあらしの時ですよね』
「あぁ、凄い地道だけど削れるからね」
『ほんと、気付かなかったらどうなっていた事か!あと数秒遅かったら多分負けてましたよね』
「気付かなければよかったのに」
『残念っしたぁ』

ここで解説を加えておこう。すなあらしの時、つまりラムセスさんがツンベアーにふぶきを命じたときだ。非常に簡単に言ってしまえば、彼はすなあらしを凍らせたのである。元がいくら地面タイプに効果のない技と言っても、あそこまで冷やされてしまえば霰や雹と変わりない。ドラゴンタイプのアリアには確実にダメージが溜まっていくという訳だ。

「いやでも最後のかえんほうしゃにはびっくりしたのさ」
『あぁ、あそこで決めなきゃこちらも危なかったので強硬手段を』
「なるほどね」
『いやしかしタイプ不一致にしても耐えすぎですよツンベアー』
「素早さがもともと低い分体力と耐久に力を入れててここが………」
『ならここの技はこっちの方が…………』
「いやここはこういう作戦があってね………」
『しかしこう来られるとこっちが………』
「あの、グレイさん」

白熱しかけた話し合いを止めたのは意外にもジャッキーさんだった。

『あ、なんでしょう』
「バトルの途中、一回だけフライゴンのこと違う名前で呼んでましたよね?あれは?」
『あぁ、アリアですね』

ひょいと回復が終わったアリアのボールを手に取る。

『旅の途中で加わった子達には名前付けるようにしてるんです。公式バトルの時はなるべく気を付けてるんですけど………やっぱり出ちゃいますね』
「あ、じゃあ他の子にも?」
『勿論』
「み、見せて頂いても構いませんか…………?」

よく見るとジャッキーさんだけじゃない、言葉にはしないがシンゲンさんやカズマサくん、ラムセスさんもじっとこちらを見ている。
やっぱり他地方のポケモンに興味があるのか、と私は苦笑した。

『いや、皆さんそろそろ休憩時間終わるでしょう』



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