黒バス

□黒子に笑ってほしい無冠
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   『一緒にバスケしよう』って、君に言おう


 それが、ただ辛いことを思い出させるだけの君の傷になったのかもしれない


 それでも俺たちは忘れてないんだ


 暗い記憶が纏わりつくその昔、初めてバスケと向き合ったときの君の輝くような笑顔を、


 そしてその周りには同じように笑んだ俺たちがいたことを


  さぁ、その手を伸ばして? 

 しっかり握るから、離さないから、暖めるから、側にいるから、同じ速度で歩むから、

 
 ――――――もう一度だけ、君を光の射すところへと連れて行くんだ








  「コタちゃん、行きましょ....テッちゃんのところに」


 不意に、肩を実渕に摑まれた 荒げるわけでなくただ淡々と落とされる言葉、

 優しいなんてものじゃない力加減、

 怒りの矛先を何処に向けていいのか分からないのだろう

 思わず僅かなうめき声を洩らす

 肩に少しずつ熱が集まりだした
 
 
  「っ、痛い、玲央姉」


  「あ、ご、ごめんなさいね」
 

 ごめん、わかってる
 テツヤの痛みがこんなもんじゃない、ってことくらい分かってるんだ


 あの愛しい子はどれほど傷ついたのだろうか―――


 その異質な才能を認めようとしない奴らからどれだけ罵倒されても、

 色んな不安を抱えた花宮の隣にずっと寄り添っていたときも、

 実渕がテツヤにちょっかいかけた奴らにオネェ言葉すら忘れて本気でキレたときも、


  諦めないで、苦しみを共有しようとして、誰よりも俺たちのことを案じた


 根武谷に付き合って一生懸命牛丼を食べる君、

 木吉の少し危ない発言に苦笑を返す君、

 俺と一緒に無邪気にバスケを楽しむ君、

 色んな表情の君が俺たちの記憶に残ってるんだ

 
 存外コロコロと変わるその変化をもう一度、誰よりも近くで見ていたいと思うんだ



   だからさ、今行くよ


   きっとすぐそこまで来てるから、


   ちょっとくらいの休憩、努力の塊とも言える君を見てきた神様なら許してくれるはず、



  「「「「「始め(るか)(んぞ)(ましょう)(るぞ)(るよ)」」」」」



       君との物語を
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