黒バス

□癒しを手にいれた若松さん
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 今日も今日とてオレのストレスは溜まる



 「青峰はまた来てねぇのか!?」

 
 「す、スイマセンスイマセン!今日も来てないみたいです....スイマセンスイマセンスイマセン」


いつものごとく桜井が慌しく謝罪を続ける

そんな後輩を見ながら主将今吉はくえない笑みを見せる
 

 「何で桜井が謝るん??若松も、今に始まったことやないやろ?」


 「クソっ!!」



強いから練習にも真面目に来ない、先輩への態度もなってない


本当は殴ってやりたいそれでも......


 『オレより結果出してから言えよ........ありえねーけど』


オレは青峰より弱い

勝つことは出来ない

結局は天才にはなれない、


いつもは悩んだりしない俺がこんなことで考え込んでもしょうがない


ここは気合でもいれて練習に挑むか、と意気込む


 (今日はアイツも部活が休みとかでこっちに来るし.....)

愛しい人の訪れを思い浮かべ、思わず口元が綻んだ


当たり前だ、自分の好きでたまらない人に会えるのだから


 「スイマセン!この人いきなり笑い出して可笑しくなったのかな?とか思ってスイマセン!!」


 「桜井ぃ!!??」


悪気があるのかないのか分からない後輩の言葉に驚いていると、視界の端、

体育館の入り口に水色のふわふわっとしたのが揺れていることに気づく


 「もう来たのか」


 「スイマセンスイマセン!この人今度は幽霊が見え始めたんだ....とか思ってスイマセン!!」

  
 「もうお前黙っとけ!!!」


これはもう態とだろ、としか思えない後輩に一喝して入り口へと駆ける

それと同時に自分の鼓動が速くなっていくのを感じた

だいぶ溺れているな....心の中で苦笑を洩らす

近づけば水色の影はこっちに気付き変わらない、と定評のある表情を動かした
柔らかい微笑みに何気ない幸せを感じる

 「すまねぇテツヤ。今日はオレのところ練習でよ...」


 「いえ、全然構いません。それに.......」

 
 「?どうした??」

 
 目の前の綺麗に澄んだ水色の瞳が恥ずかしそうに伏せられる

どうしたのかと覗き込む前に、上目遣いで爆弾を落とされた


 「そ、その.....孝輔さんの練習してるところ見るの好きなんで.....」


 「っ!?」


なんなんだこの可愛い生物は!?

いつもの無表情とは打って変わって、頬は紅潮しながらも言葉を一生懸命に紡ぐ姿に抱きしめたい衝動に駆られる

しかし、自分の背へひしひしと伝わってくる殺気に後ろを見ると......


 「桜井!絶対はずすんやないで!!」

 
 「はい!何があってもこれだけははずしません!!!」



 オレの脳天へと狙いを定めた気弱なはずの後輩と、


それを全力で支援する主将の姿があった
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