怪盗話
□『5』
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Side Shun
[ここか……。
秋里駿介、ここにあり!
って早く凪に言ってやりてぇなぁ……。]
アイツを笑わして、事故にあったことを忘れさせてやりたい。
俺と凪は、元は遠い親戚同士だったんだが……。
親に死なれ、不慮の事故で記憶を無くしたアイツは、
俺はただの『友達』だった。
[風間の奴も元気かねえ………。天霧さんも不知火も。]
天霧さん達とは凪が『神風』から今の名に変わった時に知り合った。
アイツの本当の名前を知ってる数少ないやつってか?
凪が風間の探偵事務所を継いだと天霧さんから聞いていた。
今日はそんな凪の様子を見るために、
ここまで来た。
昔から言ってたしな。
『兄さんに負けないくらいの探偵になりたい。』
ってな。
そうして俺は『探偵事務所』と書かれているところに足を運んだ。
ゴンゴンッッ
シーーーン……………。
[……………誰もいねぇのか?]
そう思って、少しドアの前で屈んで待ってると。
「………だれだぁ………??」
聞き覚えのある、声。
[不知火!!]
「うぉっ!?だ、だれだぁ?」
お昼過ぎだというのに
眠たいモード全開の不知火だった。
[覚えてないか?駿介だ!]
「しゅんすけ………?秋里んとこのしゅんか?」
[そうだ!!]
「おぉ……デカくなったなぁ…。おーい、天霧のおっさん!!駿が来てるぞー!!」
不知火、相変わらずおっさん呼びなのか。
天霧さん、お疲れさん。
「おや、駿介さん。お久しぶりです。」
[久しぶり………ってどうした?その目の隈。]
「少々色々ございまして。今日は何か?」
[あ、あぁ。凪に会いに来たんだけど……いるか?]
「「………………。」」
凪の名を出したとたん、何でか二人が黙り込んだ。
「…………」
[なぁ、天霧さん。凪は今「どこ」にいるんだ?]
「…………お見通し、か………。」
「そうみたいですね………。」
[何かあったんだな?アイツに。]
「えぇ……。駿介さん、今から話すことは他言無用でお願いできますか?私達と凪さんと……総司さんの為に。」
[って、何で総司が出てくんだよ!?あいつは勝手に凪を置いてけぼりにして、どっかに行っちまったじゃねぇかっっ!!!]
「お静かに。風間に聞こえます。」
俺が口調が荒くなってしまっても、天霧さんは冷静なんだな…………。
[…………わかったよ。話、聞いてやるよ。]
「ありがとうございます。」
クルリとドアの前で踵を返し、
天霧さんは
俺は迎えてくれたのだった。
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