怪盗話
□『6』
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Side 凪
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『う、うー…………。』
頭、痛い。身体も……何でか痛い。
そんな痛みにハッと目を覚ますと。
最初に見えたのは真っ白な天井。
『こ、ここ何処だっけ………。
てか、何でここにいるん……あだだだ………。』
身体を起こそうも、
全身に力が入らなくて動けない。
関節も痛いし、頭もガンガンする。
『いたたた………。』
【あ、目が覚めたんだ。おはよ。】
身体の痛みに震えていると。
扉が開いて、一人の男が現れた。
それで何でここにいるのかも理解した。
『…………。』
【…………凪ちゃーん?】
『…………ここ、何処だ。浮薄。』
そう、
そこに現れたのは
目を縁取った黒いマスクをかぶり、
緑のマントをはためかす怪盗だった。
【あ、よかった。記憶があったんだ。よかったよかった。】
『………記憶がなんだ。』
【君ね、記憶を無くしてもおかしくないくらいの高熱をだしてたんだよ。
一歩間違えたら、
死ぬところだったんだから。】
浮薄はそう言うと、
僕の身体を起こさせ、持ってきたお盆から粥を差し出し。
【はい、これ。
三日四日食べてない身体だからね。少しは食べなよ。】
『三日四日も……。』
グゥ〜〜〜。
【ほら。】
『…………あは。
…でも…何も入れてないよな。
これ、れっきとした卵粥だよな。』
【何いってんの。んなわけないでしょ。ほら、早く食べる。】
浮薄に急かされ、粥を食べる。
温かいのが身体全体に広がり、
ポカポカした。
『うん。美味しい。』
【ん…。よかった。】
浮薄はにこりと笑い、僕が食べ終わるまで、
ここに居続けていた。
何でだかはしらないけど。