呟く小人
□君は僕のモノ
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少し陽が傾いた夕方。
僕と凪は、屯所の道場で稽古をしていた。
『ふぅっ。』
【はぁっ。】
目の前広がるのは、
僕と彼女で相手した隊士たち。
『ふーー。いつもこんななの?総司。』
【まぁね。でも何か力抜いてるようにみえるけど。】
「「「う゛………。」」」
ま、大体の事情はわかるけどね。
女人禁制の新選組屯所に女の子がいるんだから。
しかも、一番組組長である僕と一緒に稽古をやってるんだから。
『……ねぇ君。』
「は、はい!?」
凪が一人の隊士に話しかけた。
『ちょっともう一回お願いできる?』
「な、何をでしょう。」
『何って………手合わせ。』
道場の中が一時騒然する。
話しかけた隊士は、今年入って来ただかりの新人だった。
【どうしたの?凪】
『ちょっと見ておきたいなって。』
【何を?】
『この人の体勢。』
ほらっ、始めるよ、と彼女は言ったが、
その隊士は動く素振りをみせない。
「…あの、どのくらいのお力で……?」
『あぁ。全力で来て。そうじゃないと僕が君を倒しかける。』
「ぜ、全力でって………いくらなんでも、女の方なので……」
『んなこと言ってんじゃねぇぞ……?』
【…………。】
僕は黙って見ていた。相変わらず二面性が激しいけど
彼女の言葉には感じるものがあったから。
【さっきのじゃ、全然彼の実力がわからない。そういう意味?】
『ご名答。さすがだな。』
【でも、無理はしないでよ?】
「えぇ!?」
【何その声。だらしないなぁ。君は何の為に新選組の隊士になったのさ。お遊びで?それだったら………】
そこで話を割るように
凪が入って来て。
『総司。脅すのは止めて。ほら、早くやろ?』
「は、はい!」
やれやれと思いながら、
凪とその隊士が手合わせするのを見ていた。
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