呟く小人

□旅立ちとこれから
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サイド 総司



卒業。



僕は



どんな風に過ごしていたんだろう。







初めての高校生活。

入学時、わからないことがたくさんあって。

右も左もわからない、そんな感じだった。


そんな僕でも、進級すると後輩が出来るわけであって。


面倒くさいかな……とか思っていた。


でも、



『沖田先輩。お疲れ様です。いい打ち込みでした!』



当初、その時の僕は女の子とかは興味がなかった。


いや、それより部活を専念してたからね。


冷たい言葉をかけても。


『………駄目です。そんなこと言っちゃ。後で自分が悲しい目に合うだけですよ。』


って言われちゃったことがあった。




生意気、って思ってた。




だけれども。



君は。



『それが本当に君が言いたいことなのかな?
言葉は嘘で心じゃ、本当は構ってほしい、そう思ってるんじゃないのかな。』


と何年も生きてきた人のように言って。



その日から、僕は



その女の子凪ちゃんと過ごす時が増えたんだ。





改めて凪ちゃんのことを知ると。


人見知りで純粋無垢な子だった。

そして、その人が言ってしまった言葉を素直に受け止めてしまうってことも。


『何が嘘で嘘じゃないかは、目を見れば分かるんだけど……。
分かりにくい人はムリ。』

【じゃあ、何で僕の時はわかったの?】

『君が分かりやすかったからかな。』


スパッといわれたね。

あれにはほんとびっくり。
そんなにわかりやすかったんだね。僕って。


そう言うと。


『……でも、いくら僕でも人の心なんか読めないさ。』


と寂しく笑ったのを、僕は覚えてる。

何でなのかな。


僕も君の力になりたくて。

いつも力をもらってるから。



その時から、僕は君が好きだった。
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