怪盗話
□『3』
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ーーーFuhaku room
Side Mrs.umikaze
今のうち、だと思った。
頭はクラクラするけど、
彼から逃げるなら今のうちだと
思った。
『よっと………。せーの………!!』
吊された手に力をいれて、
脚を上の方に寄せて
その隙間に入れる。
『………くっ……はぁっっ!!』
自身を戒めている鎖にむかって思いっきり、脚に力をこめ。
バキン!!
金属が割れる音がした。
鎖にヒビをいれられた。
元々、脚力には自信があったので、
そこに金属かなんかを靴の沿ったところや裏に仕込んでおけば、僕ほどの力があれば容易く鎖にヒビを入れられる。
ガン!!ガン、ガン!!
『………っっつ!!おりゃ!!』
懇親の一撃を鎖に向かって、
蹴った。
『うわっ!!』
ドサッ!!と地面に身体を叩きつけられる。
鎖が外れたんだ。
『いたたた…………。よかったーー………。』
ワイヤーは既に浮薄が取ってくれていたので(なんの為かは知らないけど)さほど大きな傷はなかった。
『さーて…………。』
ドルンッッ。
『お?来たね?』
高いエンジン音が聞こえる。
でも僕にはこれには聞き覚えがある。
『…………この音だと、不知火かな。』
荒っぽい走り方をするのは
僕の記憶の中では彼しかいなかった。
『念のためにペンダントしててよかったな。』
と、胸元にある黄緑色で縦に細長いペンダントを見た。
このペンダントには発信機がついていて、とりあえずさらわれた時に天霧さんか、不知火が追ってくれるという優れもの。
でも。このペンダントは僕の原点。
探偵になる決意をさせてくれたものだった。
『おっと…………こりゃラッキー。』
部屋を見渡してみると
鍵が開けっ放しだった。彼が掛け忘れたのか。かなり急いでとんでいったからな…………とか思う。
『よし。これでOK。』
まだ身体がゾクゾクする。
ヤバいな、風邪が悪化したかな。
頭がクラクラして来た。
このまま倒れそう……………。
と僕は後ろに倒れると、
思った。
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