呟く小人

□君は僕のモノ
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ーーカンッ!!パンッ!!


道場の中で竹刀の音が響く。

凪の型は僕のと少し似ている。
未来、とかいうところで少しやっていたとかいってたなーー。
と思っていると。


『ほらっ!あまいっ!!』

「っつ!!」


パンッ!!と彼の足を叩きつけ、
注意をする。うわ、僕そっくり。


『おおっと!!』

「はぁはぁ………。」

『ふふ…………。』


身軽に彼の竹刀を避ける。
短い髪がヒュッと大きく揺らいで、
彼の懐に潜り込む。


『はい、お終い。』

「は、はぁはぁ…………。」

『お疲れ様。やっぱり思った通りだよ。君。』

「えっ?」

『総司もそう思うだろ?』

【まぁね。僕と凪の力には及ばないけど、隊士にしては強い方なんじゃない?】


僕は普段、弱いだとか、下手とか言っているんだけど、
彼には少し目をひいてしまった。


『なっ?』

「えっ、あ、はい!!」


にっこり笑んだ彼女に、隊士は顔を赤くしていた。

ちょ………凪。
なにしてんのさ。


『さーて。ほら、組長!終わりの挨拶。』

【…………解散。皆、休んでいいよ。】

「「「「おうっっ!!」」」」

『ふぅ…………。ちょっと裏庭行こう。
総司。』

【うん。僕も話したいことあるし。】

『ん?何?』


よくわからねーって後ろで呟く彼女の言葉にちょっと失望感を覚える。
何というか、単純なんだよね。


ーーーーー


裏庭に行くと、梅雨入り前の心地よい風がとおる。
汗を乾かすには丁度よかった。


『はぁ………。』

【風、気持ちいいね。】

『そうだね。かなり今日は涼しい。』

【だね。】


まだ陽がかった空を二人でみていると、
急に凪が呟く。


『明日が少し怖いの』

【えっ?】

『ほら、今日は楽しかったでしょ?でも明日になると総司や一君、皆と別れちゃうかもしれないでしょ?』

【………………。】

『特に僕は未来から来てるから。明日が怖い。何があるかわからないから。』

【………………。】


そう言う彼女の横顔を僕は見つめていた。
彼女の顔は切ないようで、
真っ直ぐな眼差しだった。
何時としても、諦めない。そんな瞳だった。


『ココに来てからは毎日が楽しいよ。土方さんの発句集のこと、知ることできたしさ。』

【あぁ、あの豊玉さんね。】

『あれ、やっぱり土方さんが書いたんだなーって思ったよ。』


あはははっと二人で笑いあう。


『そーいえば、総司の話したいことってなんだ?』

【…………何で君はいつも誰にでも笑顔を振りまくのかなぁって。】

『はぁ!?』

【だってそうじゃない。さっきの隊士にだって。苦手とかいってる土方さんにだって。】


………何でこんなムカムカするのかな。
心の中に少し黒い渦がまいてしまう。

そう思っていると、


『バカ総司。』


今まで木を見ていた凪が
こちらに振り返り。


『子どもだなぁ………。』



と言い。



ぎゅっと僕に抱きついた。




ーーーー何があったのかな。
てか、凪は何をしてるのかな。




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