Variations―変奏曲―

□図書館にて
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―早朝の学園図書館。

空は薄暗く、殆どの生徒は
まだ寮部屋で夢の中。



しかし、図書館には先客が居た。







「こんな早くからやらなくても…」
「君が言い出したんでしょう」
「鍵当番だからって早過ぎだよ!」



向かい合って椅子に座るのは
2人の黒髪の少年。

パーカーを深く被っている
小柄な少年は、欠伸をしつつ
開いた本に突っ伏す。

向かい合う少年は、それを見て
小さく溜め息を吐いた。



突っ伏す小柄な少年の名前は、
エスクラリネット、
向かいの少年の名前は、
ベークラリネットと言い、
5人兄弟の五男と四男であった。





「大体さーこんな時間じゃなくても
昼休みとか…」
「他の生徒が居るので集中出来ません」
「放課後、とか…」
「暗くなったら君は寝るでしょう」
「…うぅ…」



ああ言ったらこう言う。

何度も反論を試みた
エスクラリネットだったが、
遂に撃沈した。










―AM:06:30

空も明るくなって来た頃。

相変わらず黙々と読書をする
ベークラリネットに対して、
エスクラリネットの意識は
そろそろ途切れようとしていた。





その時。








「おはよ…って早いね、2人共」







現れたのは、黒髪の少年。
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