Variations―変奏曲―

□中庭にて
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―昼休みの中庭。


其処に集まったのは、
木管低音―通称:Low Woodの方々。

血の繋がりもなく、性格も違う、
一見協調性のないグループだが
彼等ほど『魅力的』な低音はいない、
とまで言われていた。(自称)





そんな彼等の、穏やかな日常。








「珍しいな」



ふと声を上げたのは、
LWのリーダー、バスクラリネット。





その視線の先には、
昼寝中の2人の青年の姿が。

彼等の名前は、
ファゴットとストリングベース。





「人見知りのファゴットが、な」
「初めて見たな、あの組み合わせは」


それを見て、バリトンサックスと
コントラバスクラリネットも
独り言のように呟く。

それほど珍しい光景だった。





「兄のお前は、何か知ってるか?」

そう言ってバスクラは、
ファゴットの兄である
コントラファゴットに目を向けた。





「…クラシック、の話題だと」


そうボソッと呟くと
コントラファゴットは口を閉じる。

元々無口な彼は、強面なのもあって
色々と誤解され易いのだが、
付き合いの長いLWである。
大抵の事は理解していた。





「クラシック、か…」
「アイツらはオタクだからな」
「…俺は出番がない…」
「あああごめん、バリサク!」

※LWはバリトンサックス以外
クラシックでも活躍します










暫く経っても、
2人の目覚める気配はなかった。










「取りあえず、飯を食おうか」


コンバスクラの言葉に全然頷くと、
昼寝中の2人のために
少し静かに食べ始めたのだった。
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