小説(長編)
□入学式早々…
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とある南の海にぽつんと浮かぶ島。
そこにかの有名なエスカレーター式の
私立中高一貫の学園、
K鐡学園は聳えていた。
通学方法は様々。
毎朝自家用のフェリーやヘリで
登校してくる者もいれば、
遠方から登校する生徒の為の
寮も設備されている。
そこでは“絶対”の掟があった。
「S5には逆らうな」
S5とはなんなのか…
「椿…起きて」
眩しい太陽の光が僕を照らす。
だが、二年前と違うのは
百合がいること。
眠たい目を擦り、毎朝の日課とも言える
百合とお互いの額を合わせ
魔法の言葉をいう。
あいつが二人に残した言葉を…
午前8:35を過ぎた頃、
百合と共に家を出る。
平田さんのヘリに乗り登校する。
明日からは寮でくらす。
20分後
大嫌いな学園の門の前に立つ。
向かいには忌々しい父の姿。
「やあ、椿おはよう。 百合くんも」
僕はその言葉を無視した。
「行くぞ、百合」
強引にも百合の手を引き
少し大股で歩き出す。
入学式があるのは南棟。
ここからは少し距離がある。
無駄にだだっ広い校内をひたすら歩く。
「椿、ゆっくりでいいよ」
百合の声がやけに近く聞こえた。