ヴァンパイア騎士†短編
□瑞樹の誕生日〜裏庭にて夜会〜:上
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「うわぁ〜!!すごい大きいケーキだぁ〜。」
「梓葉…目がイキイキしてんなぁ…。」
今日は夜間部の授業がない、純血種である瑞樹の誕生日会をする為に休講になったのだ。
誕生日会こと夜会だ。場所は月の寮の裏庭で、すでにいつもの主要メンバーが集まり、主役の瑞樹が来るのを待っている状態である。
テーブルには、豪華な料理やケーキなどが並べられており、梓葉が目をキラキラと輝かせている。
そんな梓葉に若干呆れながら突っ込む知香。
「僕の時よりも派手だなぁ〜。…それより、梓葉ちゃんのドレス姿…なんて可愛いんだ〜♡」
「…どーも、ありがとー。」
「何で棒読みなの!?」
梓葉と知香の所にやってきた一条が、ドレス姿の梓葉を見てハートを飛ばしているが、梓葉は華麗に流した。いつもの事だが不憫である。
梓葉は水色と黒を基調とし、腰の辺りに赤いリボンがついているパーティードレスを着ている。髪は珍しくハーフアップにしている。
「一条…哀れだな。あー…、ドレスってやだね、まったく。」
知香は一条を鼻で笑いながら自分がドレスを着ている事にブツブツと文句を言っている。知香は裾がシフォン系になっている白のドレスに黒のロングカーディガンを羽織っている。そこに支葵がやってきた。
「珍しいね…知香がドレス着るなんて…。」
「瑞樹に脅は…、お願いされて。断れなかったんだ…。」
「…そっか。」
支葵は知香が言いかけた事が分かった。それはお願いではなく“脅迫”されたのだと。だが、あえて触れなかった。口に出せば自分の存命に関わりそうなのを本能で感じとったからだ。