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□遅めのバレンタイン
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仕事がひと段落つき、藤原さんがいれてくれたコーヒーを啜っていると速水がノック無しに入ってきた。別に何時もの事なので声は掛けない。横目で見た彼は手に何か持っているみたいだ。

『なんだろうなぁ。』

とぼんやり考えていると速水はまたも無言で俺の隣に座った。しばらく待ってもいっこうに話そうとしない。しょうがない。そう思い声を掛けようとすると彼は何か決心したように勢いよく顔を上げた。その顔はしっかりと赤く、目は潤んでるでいた。しかも上目遣い!

『か、可愛い…』

反則だろ、あれは。そうドギマギしていると速水は手にしていた紙袋を押し付けてまた俯いてしまった。

「なんだ?これ…」

反射的に受け取ったそれを開けて見ると中にはオシャレな箱がはいっていた。

「チョコ」

早見は顔を赤くしたまま呟いた。

「チョコ?」

そう聞くと速水はキッとこちらを睨んで

「ばれんたいん」

ばれんたいん?ああ。…え?

「俺に?」
「当たり前だろ!」

そんな可愛い顔で睨まれても…。

「〜//要らないんだったらいい。」

そう言って袋を奪おうとする彼が愛おしくて伸ばしてきた彼の腕を掴んだ。

「ありがとう、速水。嬉しいよ。」

そう言って額に軽いキスをすると彼は一瞬キョトンとすると直ぐまた赤くなって俺の肩口に顔を押し付けてきた。

「行灯のくせに…」

そう悪態ついてくる彼が愛おしくてその背に腕を回した。

fin
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