短編集

□Fall in love!
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「だーかーら言ったでしょ!」
私、##NAME1##ちゃん絶賛怒られてます☆
「ふぁってかっこよかっふぁんだふぉん…」
今、私とグレルはイタリア料理店に来ていた。ピザを頬張りながら抗議の声をあげる。
「なに言ってんのかわからないワヨ!」
ダメだ、完全に呆れている。どうしよう。
「顔だけで選ぶからそうなるのよ!いい加減学習しなさいよネ。いっつもそうよ、アタシが勧めた男には見向きもしないのにやめとけって言った男にだけ反応するんだもの。」
優雅に紅茶をすすりながらグレルがはあぁとため息を吐く。
え、そんなあからさまだと傷つくのだが。
「いい?今の時代、男は顔じゃないのよ!大事なのはハートよ、は・あ・と。…なーんて古くさいこと言うつもりないケドね?アンタは顔に偏りすぎネ。もうちょっと中身も見なさい。」
メンクイの自覚はあるけど…
でもやっぱり顔じゃないかっ!
「そんなに顔重視するならアイドルにでも恋すればいいのヨ。」
おーグレル様さっすが☆
私はパチパチと手を叩く。
「あらヤダ。この子本気にしたの?…はっきり言ってバカね。」
私は危うく手に持っていたマルゲリータを落としそうになった。
「え?冗談なの…?」
グレルはフランボワーズを一口食べると眉を寄せた。
あり、不味かったのかな?ここのお店結構美味しいと思ったんだけどなぁ。
「当たり前でしょ。単純すぎるから毎度毎度騙されるのヨ!」
天然が売りだもの!
「アンタの場合、売れてないわよ…」
ぐさぁっ!なんてこった!私はただの単純女になってしまったではないか…
「だからそう言ってるでショ?もう少しオトコを見る目を養いなさい。それから騙されないようにそのスキもなんとかしなさい。」
どうすればいいのでしょうか?
私にはちんぷんかんぷんDEATH☆
「…アタシの決め台詞取らないでヨネ?しょうがないわネ…アタシが手取り足取り教えてあげる☆だからアンタの話はもうおしまい!アタシの話も聞いてちょうだい?」
うっわー!グレル様女神〜!えぇ聞きます、何でも!
「最近ネ、セバスちゃんに会えてないのよ…」
食べかけのフランボワーズをフォークでつついて、しょんぼりと項垂れている。
まさしく恋する乙女!どうしよう…私より女子力がある。
「マダムの事件で出会ってからアタシその後謹慎になっちゃったでショ?やっと謹慎解けたと思ったのにウィルったら仕事沢山押し付けてくるんですもの。嫉妬されてるのネ、アタシ。やーん。アタシにはどっちかなんて選べないワ。」
う〜ん。後半辺り妄想が入ってるような気がするけど…
「二人とも似てる所があるのよネ。あの冷たい瞳に睨まれたらゾクゾクしちゃうワ!」
うっとりとした表情で語るグレル。私はその間にフランボワーズを盗む。
「…食い意地だけははってるのネ。まぁいいわ。でもやっぱりアタシの本命はウィルなのよ〜!アタシの中のアイドル的存在ネ。」
あれ、さっきアイドルは冗談って。
「それはホンモノよ、ホ・ン・モ・ノ!セバスちゃんはアタシの中のアイドルなのヨ!」
その後もウィルの仕草がいいだとかセバスちゃんに次いつ会えるかしらだとかひたすらにノロケ話をされた。閉店時間が近づいている。
「じゃあ今日はお開きにしましょう。」
満足に話したのか大きく伸びをするとお会計を済ませて店の外へ。
「いい、明日から早速トレーニングよ!」
ビシッと指を指され私は大きく返事をする。
「はいっ!お願いします、グレル先生!」
任せなさい!とブイサインを出される。なんて頼もしいオンナ友達だろう…。涙が出てくる。
「じゃあアタシはウィルに呼ばれてるから〜」
ウインクを残すと風の速さで去ってしまった。
よ〜し、頑張るぞ。今度の恋は注意深く!
と言ってる側からおもいっきりズッこけてしまった。
「君、大丈夫?」
顔を上げると髪の色がド派手な男の子が私に手を差し出していた。あ、どうしよ…

Fall in love !
(「気をつけなよ?」)
(中身も優しいではないか!)

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