短編集

□狂った道化師と壊れた人形
1ページ/3ページ

ひっそりとした何も聞こえない闇の中ドアが開く音が響く。
「お帰りなさい」
私は声が震えないように注意してリビングに入ってきたロナルドに声をかける。
また、始まるーーー
今日もいつもと変わらない。
「なぁ、##NAME1##。」
ギラギラと光る目で睨まれる。まるで獲物を狙う獣の目。俺、今ストレス溜まってんだよねーと顔が歪む。
怖い、けど。
目を離さない。
「ふっ、まだ怯えてんの?いい加減慣れてよね。」
手首を掴まれて身動きがとれなくなる。ギリギリと力を込められ骨が軋む。
「痛っ、やめってっ…」
涙がこぼれる。
分かっている。
どんなに泣き叫んでも、
「やめるわけないでしょ?」
ロナルドはやめない。
私の身体の傷が増えていく。致命傷はない。だからこそ、その一つ一つが鈍く、鋭く、痛む。
ただただ嵐が過ぎるのをじっと堪えるだけ。
「##NAME1##言ったもんね。何でもするって。ロナルドのためなら辛くないって。」
辛くなんかないよ。
普段の、優しい明るいロナルドが本当だって信じてるから。
ロナルドの笑顔が何よりも好きだから。
ロナルドは暴力を振るうことをやめない。
意識が遠のいていく。
なんとなく、分かってしまった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ