短編集

□赤い浴衣の似合う人
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きっかり10分でもどってきたグレルを準備万端の##NAME1##が迎える。
「アラ、本当に用意できたのネ。」
じゃ行きましょ、と言いながら##NAME1##を抱き抱え窓から飛び出すと屋根から屋根へと跳んでいく。
「よいご旅行を。」
あっという間に小さくなった二人をセバスチャンは窓から見送った。


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「前から行こうと思ってたの。丁度よかったワ。」
まばたきをする間に日本についた二人は伊豆の老舗旅館に来ていた。
「観光は後にしてさっさと温泉につかりまショ。」
落ち着いた雰囲気の部屋に通されたにも関わらず、浮き立つ気持ちはどうしても抑えることができなかった。
「この部屋浴衣がないわね…おかしいわ。」
襖の中を覗いたグレルが不満そうに声をあげる。
「受付の横に棚があって自分の好きな浴衣を選べるんだって!」
ちゃぶ台の上にあった案内書を読んでいた##NAME1##が声をはりあげる。
じゃあもう準備はできたワネ、手拭いと下着を手に持ち二人は部屋を出た。
「色々あるのね…」
たたまれた浴衣のはいった棚を前にグレルが感心の声をあげる。
薄紅、えんじ、桔梗、山吹、藍、若葉、…
色とりどりの布と帯。日本伝統の色と染め方。神秘的で艶麗であるそれは死神であるグレルからしても珍しいものだった。
グレルが選んだものはえんじ色の地に彼岸花の描かれた浴衣と藍色の帯。##NAME1##は所々桜色に染められた淡い雰囲気の浴衣と桔梗色の帯。
お気に入りの浴衣を見つけた二人は浴場へ向かった。

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