オリジナル小説
□5、処理機NO3「パヴェーゼ」
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、処理機NO3「パヴェーゼ」
変化。
それはゆっくりとやってきて、私を飲み込んでいく。
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何年前の出来事だろう。
「パーヴェーぇーゼーっつvv」
「・・・なんだ」
いつもとは違う。
ふざけた声色の裏に、甘えに似た寂しさが含まれている。
そんなときはいつも何か企んでいる時。
だけど、不安だって。心に隠しているとき。
「名前読んで?」
「・・・・・・・アラド。」
ドンっ。
飛びついてきたアラドは、抱き込むように自分を抱きしめた。
背中に感じるアラドの胸板。
同じ男なのに、自分とは違う。
たくましさと表現するのかよくわからないけれど、それはいつも、痛みに呻く自分を抱きしめ、安心させてくれる。
首筋に顔を埋めてきたアラド。
自分の白銀とは違う、真っ黒な、綺麗な、髪。
いつも、赤い瞳にかかるその黒い髪が、たまらなく、愛しかった。
「僕、パヴェーゼに言わなきゃいけないことがあるんだ」
耳元を擽る愛しい声。
愛する恋人。
「私を、・・・私を捨てるのか」
直感だった。
向きあうように体制を変えたアラドは、酷く儚げな顔をして、「うん、ごめんね」と言った。