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□可愛い恋人(完)
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「…コンラッド…大丈夫…?」
深夜皆が寝静まる血盟城、コンラッドの部屋にユーリが訪れた。
「…ユー…リ…?」
コンラッドはベッドの中から顔だけ動かし、掠れた声でユーリの名を呼ぶ。
「果物持ってきたんだけど…食べれる?」
ユーリは寝ているコンラッドのベッドに近づき側にあったイスに腰掛ける。
「…うつってしまいますから…」
「私の風邪がうつったんだから免疫あるし大丈夫だよ。」
ユーリは笑顔で答えながらオレンジもどきの皮をむく。
「…そうでしたね…」
コンラッドは少し苦笑しながら答えた。
昨日地球から眞魔国にやってきたユーリは風邪を引いていたため、コンラッドが看病していたのだが見事にうつってしまい、朝からコンラッドは寝込んでいた。
完治したユーリもお見舞いにきたり看病したかったのだが、いなかった間の仕事がたまっており訪れるのがこんなに遅くなってしまったのだ。
「まだ熱いね…薬は飲んだんでしょ?」
ユーリはコンラッドの額においてある布をとり机の上に置いてあった氷水で絞り、額に手を置きながら訊く。
「ええ…ギーゼラに無理矢理ね…」
その様子を思い出したのかややコンラッドの顔が青ざめる。
「クスクス…軍曹殿にはコンラッドも形無しだね。
はい、あーんして?」
ユーリは笑いながら甘皮も剥いたオレンジもどきの実をコンラッドの口元に差し出す。
コンラッドはそれに自然に口を開き招き入れる。
「…美味しいです…ありがとうございます…」
コンラッドは柔らかく笑いながらユーリに礼を言う。
「…まだいる?」
「…はい。いただけますか?」
「…ん///」
ユーリは少し頬を染めながらコンラッドにオレンジもどきを差し出していく。
「…ごちそうさまでした。」
「お粗末さまでした。」
オレンジもどき丸々一個完食しコンラッドはユーリを見つめた。