その他
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『霧の守護者を我々の手中に入れた。取引を申し込む』
その日ロッソファミリーからボンゴレに届いたメールの内容は、実に簡潔なものだった。
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『十代目、骸のことで、少しお話が…』
隼人からそう濁した内線が入ったのは、三十分ほど前のこと。
朝のことが気になっていたオレは、リボーンとクロームも呼んで、隼人のもとへ行った。
そして見せられたのが、例のメールだ。
パソコンの無機質な文字が、その内容を際立たせる。
『霧の守護者を我々の手中に入れた』
クロームは泣きそうな顔をし、リボーンはボルサリーノの影を深くした。隼人は険しい顔で画面を見つめている。
「……隼人、これ」
「先ほど、ロッソファミリーからボンゴレ本部宛てに送られてきたものです。事実確認は、まだとれていませんが…骸と連絡が取れなくなっています。おそらく、……」
…おそらく、骸が捕まったのは事実です。
口にされなかった言葉に、唇をキュッと結ぶ。
--------骸が捕まった。
その事実は、簡潔であるがゆえにストレートに響く。
…….そして同時に、最悪の事態を想像させた。
ここは、裏社会は、敵の手に落ちて無事でいられるほど甘い世界じゃない。
命を取るかは向こう次第だが、骸が無傷でいる可能性はごく僅かだ。
骸が強いのなんて、知ってる。
…でも、もしも。
考えてしまった可能性に、ぞわりと悪寒がした。
……嫌だ、そんなの。
だって、あの任務に骸を指名したのは自分で。
過信して、「気をつけて」の一言だけで送り出したのも自分で。
怖い。こわい、こわい。
考えるな、自分。
そう警告する理性とは裏腹に、脳裏によぎる赤。くらりと眩暈がする。目の前がちかりと瞬いて、視界が赤黒く沈む。
ダメだ、だめだだめだ--------
「ツナ」
不意に響いた声に、ぴしゃりと頬を叩かれたような衝撃が走った。