その他
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鳴り響いたのは、アランのそれではなく、長年聞き慣れた銃声だった。
それと同時に目の前で弾け飛んだ拳銃。
反対の方向……つまりは銃声のした方に、目を向ける。
そこで拳銃を構えているその姿に、安堵で胸が緩んだ。
「……リボーン」
来てくれた。
リボーンも、マフィアの体(てい)ではなく「ファミリー」を選んでくれた。
そう思うのは、自分勝手だろうか?
しかし、それだけじゃなかった。
その後ろから、バタバタと複数の足音。
「……どうしたんですか、リボーンさん!」
「銃など、極限に物騒だぞ!」
これもまた、聞き慣れた声。
現れた姿に、息を呑んだ。
「…みんな……」
ずらりとリボーンの後ろに並んだのは、六人の仲間。
「十代目、ご無事ですか!」
「ボス、骸様……!」
「極限にもう安心だぞ!」
「ボンゴレ!血、血がぁ!」
「何も言わねーなんて水臭いぜ」
「何してるの、さっさと咬み殺しなよ」
「……待たせたな」
いつもと変わらない面々。
とてつもない安心感と、ほんの少し懺悔の気持ちが湧いた。
押し寄せる感情の波に、ジンと目頭が熱くなる。
かすかな衣擦れの音に別の方向を見れば、ふらつきながらも立ち上がった骸がこちらに向かっていた。周りのロッソたちは一瞬身じろぎするも、突然の出来事と骸の態度に動けずにいる。
そこに、クロームが駆け寄った。
「骸様」
「…クローム、感謝します」
小さく交わされたその言葉の意味がわからなくて聞こうとしたら、その前に山本が声をあげた。
「おいおい…大丈夫かよ、骸」
骸の予想以上に辛そうな様子を心配したのだろう。彼らしい、まっすぐに心配する声音。
それに対して、骸は微笑を浮かべた。
「…当たり前です」
そうして、みんなの隣に並ぶ骸。
リボーンが、オレを呼ぶ。
「…ツナ」
呼ばれた名前に、自然に返事がこぼれる。
「ああ」
オレも、痛む身体を叱咤して立ち上がる。アランは、痛めたらしい手首を抑えたまま、何も動きを見せなかった。
そうして、みんなの中心へ。
リボーンに促されるままに立ち止まって、一度みんなの顔を見る。
長い間、ずっと一緒に戦ってきた仲間たち。
…良いだろうか。
また、頼ることになってしまう。
オレの考えを悟ったように、クロームが頷き、リボーンが呆れたようにため息をついた。
それに安心して、一度瞼を下ろし、再び開く。
そして、振り向いた。
--------ボンゴレ十代目ファミリーが、ここに揃った。