その他

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そして、それから。




*****




「骸!」



ボンゴレ本部内にある、医療棟。

その中にある扉の一つを、勢いよく開けた。







あの事件から丸三日。

骸は、全てが終わった直後に糸が切れたように倒れてしまい、それから懇々と眠り続けていた。

それが今さっき目覚めたと知らせが入って、こうして慌てて駆け付けたのだ。



一刻も早く骸の姿を確認したくて、開けた扉の向こうを見る。


「……ノックぐらいして欲しいですね」


そこにいたのは、ベッドの上で上半身を起こした状態で呆れ顔をする骸だった。


「……骸…、良かった」


思った以上に元気そうなその姿に、ほっと胸を撫で下ろす。

いつも後ろで束ねている髪は、今はそのまま背中へと流れていた。
腕から伸びる点滴や病院服から覗く包帯とガーゼは痛々しいが、無理をしているようには見えない。

一方の骸は、そんなオレの様子に怪訝そうに顔を歪めた。


「…なんですか、僕がこのまま死ぬとでも?」

「いや、そんなことないって思ってたけど、けどさ……」


正直危なかったんだぞ、という言葉をぐっと飲み込んだ。

ベッドのそばに椅子を引っ張ってきて腰掛けながら、考える。


毒物について強いはずのシャマルが「初めて見るタイプだな…どうなるかわかんねぇ」なんて考え込んだりするから。
この三日間、何もできないまま、不安だけが溜まっていたのだ。

帰ってきてから調べたところ、やはりロッソは裏で薬物や兵器の開発に力を注いでいたらしい。
ついでに、あの会合のあったレストランのシェフは、ロッソの実験台にされていたということだった。


と、しばらく黙っていた骸が、目線を逸らして口を開いた。


「…まぁ、向こうも『新開発』と豪語していましたからね。その点は、さっきドクターシャマルと話しましたよ。とりあえずは問題ないそうです」

「…え、何でわかって」

「今の君が考えていることもわからないなら、術士の素質は皆無ですよ」


全部顔に出てるんです、と呆れたような笑みと共に言う骸に、唸る。
…オレって、そんなにわかりやすいだろうか。



でもまぁ、何はともあれお互いの無事を確認できたところで、ひとつ姿勢を正す。
それから、骸が目覚めたら聞こうと思っていた疑問を口にした。


「なぁ、骸。聞いていい?」

「はい?」

「みんなが来てくれたとき、なんでクロームにお礼したんだ?」



『感謝しますよ、クローム』


あのとき骸は、確かにそう言った。
ずっと気になっていたけれど、クロームは「骸様に言ってもいいのか確認しなきゃ、私の口からは言えない」と教えてくれないし、こうして骸を待つ他無かったのだ。

そう説明すれば、骸はふっと笑う。


「あぁ…別に、言っても構わなかったんですが。相変わらず律儀な娘だ」

「で? 何だったんだ、あれ」

「君がアランを問い詰めている間に、クロームに僕の居場所を伝えたんですよ。正確には、クローム達が到着する頃に僕らがいるであろう場所、ですかね」

「え、……ちょっと待って。みんなが来てたこと、知ってたの?」


ここにきて初めて入った情報に、思わず聞き返した。



 
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