IS夢小説
□第1章 始まりの事件
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チュイーン、バリバリ、カタカタ
そんな音が薄暗い部屋に響きわたる。
チュイーン、バリバリ、カタカタ、バチバチ、
機械が動くたびにそれはどんどん形を作っていく。
それとは、つまり、IS《インフィニット・ストラトス》のことだ。
ISとは元は宇宙空間での活動を想定してつくられたマルチフォーム・スーツだった。
しかし、それはある事件を切っ掛けに【兵器】となり、【スポーツ】となった。
そして、今、そんなISを作っている人こそ、世界で初めてISを作り、その圧倒的スペックを世界各国に認めさせた人、篠ノ之 束《シノノノ タバネ》博士だ。
けして、ウサ耳をして、不思議の国のアリスが着ているような青と白のワンピースを着た頭のおかしい人ではない…………一応
「♪〜♪〜♪♪」
……余裕だね〜。
『今度のはどんなものをつくっているんですか?束博士。』
すると、嬉しそうにこっちを向いた。
「へへ〜ん、よっくぞ聞いてくれました、カイくん!これこそ今までで最高のスペックを誇るIS、その名も……」
『その名も?』
「こ(チュイーン)…そう!」
『えっ?』
「だから、こ(バリバリ)…うだってば」
タイミングのいい機械音が邪魔をする。流石になんども聞くのは失礼だ。
『あ〜ハイハイ、わかりました。すごいですね〜』
「へっへ〜んどうだ!束さんの自信作だよ!……と言うよりカイくん?どうしたの?その学校に行くようなかっこうして?」
確かに、俺は今、学ランを着てバックに筆箱やらをつっこんでいる。
『あれ?言いませんでした?俺、今日、高校入試受けに行くんですよ。
と言うよりこの話、なんどもしましたよ。また、忘れたんですか?』
「な、なんだって〜。そんな話聞いてないよ〜、束さんショックだよ〜」
そんなに驚く事かな?
などと思いながら準備を済ませ出口へと向かう。
すると、後ろからかなりの衝撃が襲った
「まって〜、行かないで〜、一人にしないで〜(泣)」
束博士が突進して抱きついてきたのだ。
『あぁ、もう。やめてください。もう、行くってきめたんですから、離して下さい!胸も当たっていますよ!』
俺も男だ、そこら辺は反応してしまう。しかも、相手のは以外にでかい。
流石に恥ずかしくなり、無理やり引き剥がそうとするが、全然離れない。
いつもパソコンか工具しか動かさないのに、こんな力どこにあるんだ。
「ヤ〜ダ〜、離れない〜!」
あぁ、だめだ、全然離してくれそうにない。仕方ない。
そう思い、束博士と向き合い、
『安心してください、別に一生会わないと言うわけではありませんよ。ちゃんと、ここから通いつめますよ。』
「!……本当?」
うっ、涙目で上目遣いをしてくるとは……チョッとドキッとくる///
『ほ…本当ですよ。だから離して下さい。』
「うん!」
フゥ、やっと離してくれた。
ふと、時計を見ると、電車の時間が迫っていた。これを逃すと確実に遅刻だ。
『ヤベっ、それでは行ってきます。』
「うん、行ってらっしゃ〜い」
そんな言葉を聞いて駅へとダッシュで向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
………………………………やっと着いた!私立藍越《アイエツ》学園の入試会場!
何でも昨年起きたカンニング事件のせいで各学校の入試が一つの施設で行われるらしい。
そのせいで、電車を何回も乗り換えるはめになった。
まぁ、そんな苦労も、今は平気だ。
「さてと、会場に行こうかな♪」
意気揚々と入試会場へと向かって行った。
だが、このあと、あんな事件が起こるなんて、この時思いもしなかった。