IS夢小説

□第5章 二人の転入生
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六月の頭、日曜日

俺は冷蔵庫の中身を増やすため、久しぶりにIS学園の外にいた。

『ん〜……このくらいあれば大丈夫かな?』

手には買い物袋を大量にぶら下げ、今にでもビニールの紐が切れそうになっている。

『しかし、腹が減ったな……どこかいいところは……っと』

ふと、“五反田《ゴタンダ》食堂”という看板が目に入った。
旨そうな香りもしてきたので間髪入れずに中に入るとしよう。

すると、店内には一夏が赤髪の男女と一緒にいた。

『あれ、一夏?お前どうしてここに?』

「海人!?お前こそどうしてここに?」

しばしの沈黙。

「え、えーと。一夏?あの人誰だ?」

沈黙を破ったのは赤髪の男だった。一夏と同じ位の歳だと思われる。

「え、えーとあの人は……」

『ども、俺は須王 海人。一夏と同じクラスでお兄さん役です!以後よろしく』

そう言って一夏達と同じ席に座る

「え?一夏さんと同じクラスって事は、あなたもISを!?」

赤髪の少女が聞いてくる。

『ああ。動かせるよ♪それより君達は?』

「あ、ああ。俺は五反田 弾《ゴタンダ ダン》一夏と同い年だ。そして、こっちが……」

「五反田 蘭《ゴタンダ ラン》です。一夏さんの一つしたです」

『そうか!よろしくな!
あ、すいません。俺も一夏達と同じやつください!』

そう言って注文すると、すぐに配膳されてきた。

メニューはご飯、カボチャの煮物、カレイの煮付けだった

「そ、そうだ!海人さんからもこいつになんとか言ってやってくれよ!」

『なんとかって何を?』

「ちょっ、お兄!今はこの人は関係ないでしょ!」

『どういうことだ?』

「えーとだな……」

一夏の話によると、蘭ちゃんがIS学園に入学を希望。
それを弾くんが反対しているそうだ。

「私はお兄と違って筆記は問題ないし、IS簡易適正試験だってA判定。十分じゃない!」

「で、でもだな……」

『別に良いんじゃない?本人が行きたいならそれで』

「ほら、この人だってこう言ってるじゃない!
で、てすので、い、一夏さんにはぜひ、先輩としてご指導を……』

あ〜、弾くんが反対する理由がわかった。
確かに、友達が義弟になるなんて嫌だもんな……

「ああ、いいぜ。受かったらな」

一夏が安請け合いをした、刹那蘭ちゃんが食いついてきた。

「や、約束しましたよ!?絶対、絶対ですからね!では、そういうことで。ごちそうさまでした。」

そう言って食器を片付けた。

それを確認した一夏達がヒソヒソ喋っている

「お兄」

あれ?蘭ちゃんが戻って来た。
なぜだろう、瞬間的に気温が下がった気がする

「お、おおおお、おう。ななななんだ?」

弾くんが震えるのも無理はない。

蘭ちゃんの瞳の奥には修羅が宿る様に燃えており、

「余 計 ナ コ ト ヲ ス ル ナ」

と、物語っていた。

「で、ではこれで」

はっと我に帰った蘭ちゃんは、そそくさとその場を立ち去っていく。

「……んで……えが……」

「『うん?』」

弾くんがブツブツ何か言っていると思ったら、突然大声を出した。

「一夏、あとで勝負しろ!」

「いいけどよ。なにで?」

「エアホッケー」

『面白そうだな、俺も混ぜろ』

「ああ、いいぜ。一緒にやろう!」

「中学の時見たいに10連敗とはいかねーぞ、一夏」

そう言う弾くんは、背景に炎を背負っていた

(おお!軽く暑苦しい!)

俺は少し、激戦を期待しながらカボチャの煮物を食べていた。
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