IS夢小説

□第6章 学年別トーナメント
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翌朝、朝のHRにはシャルロットの姿がなかった。

(“先に行ってて”って言ってたけど何かあったのかな?)

教室を見るとラウラの姿も無かったが、負傷のためだろう。

「み、みなさん、おはようございます……」

入ってきた山田先生はふらふらしている。

大丈夫だろうか?

「今日は、ですね……みなさんに転校生を紹介します。
転校生といいますか、えーと……」

なにやら山田先生が説明に悩んでいるが、……何?転校生?

クラスの皆もそこそこ反応している。

「じゃあ、入ってください」

「失礼します」

え?この声は――

「シャルロット・デュノアです。
みなさん改めてよろしくお願いします」

ぺこり、とスカート姿のシャルロットが礼をする。

俺を初めクラスの全員がポカンとしたままだ。

「えーと、デュノア君はデュノアさんでした。と言うことです。
はぁぁ……また寮の部屋割りを組み立て直す作業がはじまります……」

なるほど、山田先生の憂いはそれか。

……待・て・よ?

「え?デュノア君って女……?」

「おかしいと思った!美少年じゃなくて美少女だったわけね」

「って、海人君、同室だから知らないってことは――」

「ちょっと待って!昨日って確か、男子が大浴場使ったわよね!?」

ザワザワザワっ!

教室が一斉に喧騒に包まれ、それはあっという間に溢れかえる。

バシーン!

教室のドアが蹴破られたような勢いで開く。

「一夏ぁっ!!」

「俺っ!?」

鈴音が登場!その背後には昇竜が見える。

「死ね!!!」

ISアーマー展開、それと同時に両肩の衝撃砲がフルパワーで解放される。

哀れ一夏、勘違いで殺されるなんて……墓前は花を添えてやる。

と思ったが、間一髪ラウラがAICで衝撃砲を相殺した。

「た、助かったぜ、サンキュ――むぐっ!?」

いきなり一夏の胸ぐらを掴み、引き寄せ、唇を奪った。

「お前は私の嫁にするっ!決定事項だ!」

「……嫁?婿じゃなくて?」

「いや、だって兄様からそう教わったぞ?」

「兄様!?」

『待て!俺は接吻しろとも、こんな公の場で堂々と告白しろとも言ってない!』

一斉に俺の方に視線が集まる。

ヤベ……黙ってれば良かった……

「アンタねえぇぇぇっ!」

「ま、待て!俺は被害者サイドだ!」

良かった。一夏に怒りの矛先が向いている。

喜んだのも束の間、気がつくと頭の横に青い物が浮いている。

「ああら、海人さん?無事で済むと思って?」

ですよね〜。このまま逃してくれないですよね。

横を向くとセシリアが《スターライトMK3》を握っていた。

そして、引き金を引くと同時に俺は後退する。

すると、ちょうど一夏も箒さんのから逃げてきたらしく、俺と背中合わせになる。

「海人のせいだからな……」

『いや、まさか本当にするとは……ラウラ恐るべしっ!』

「言ってる場合かよ!」

「ねぇねぇ」

横から声がするので振り向いて見ると、それはシャルロットだった。

「にこっ」

『に、にこっ』

ああ、天使の微笑みだ……地獄に仏ってこのことなんだろうな。

俺はつられて微笑み返す。

「海人ってラウラに兄様なんて呼ばせてるんだ……どんな関係なんだろうね」

『あのー……シャルロット?お前は、話せばわかるよな?……なぜおもむろにISを展開する?』

「なんでだろうね」

《高速切替》――はどうやら必要ないらしい。
その代わり、手には六九口径パイルバンカー《灰色の鱗殼》。通称《盾殺し》が握られ、こちらを向いていた。

「『は、はは、ははは……』」

人は極限を越えると笑うしかなくなるらしい。

そうか、これが、そうか……!

俺と一夏は背中合わせで笑いあう。

ドカアアアンッ!!

その日のHRは轟音と爆発、そして絶え間ない衝撃で文字通りクラスが揺れた。
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