IS夢小説

□第7章 臨海学校
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「さて……そこにいる者はすみやかに出てこい」

…………。

「3つ数える間に出てこない場合、実力行使となる。
3……」

『はい!今出ます!』

草場の影から立ち上がったのは海人だった。

瞬間、千冬さんの手が俺の頭に食い込む。

『ちょ、痛っ!痛い痛い痛い!』

「盗み聞きとは関心しないな」

『す、すいませんでした!』

「ふん。まあ、いいだろう」

やっと開放される。

これ絶対、頭蓋骨へこんでるよ……

「で、どこから聴いていた?」

『えーと、束博士がディスプレイを見て何かを言ってる所からですね』

「そうか……
知っていたのか?」

『なにがですか?』

「束が《白騎士事件》を自作したことをだ」

『ああ、それですか。
もちろん知っていましたよ』

研究所に頼み込んだ時に、束博士本人が言ったことだ。

多分、俺を引かせるために言ったと思うのだが、逆に助手になりないと気持ちが膨れ上がった。

“ああ、そんなすごい人なら俺の心の穴を埋めてくれる”と……

「それでもあいつに着いていきたいと思ったのか?」

『ええ、まあ。
別にあの人が正義とも思いませんし、悪だとも思いませんでした。
中立な立場から選んだ結果です』

「ほう。なら私をどう見る?」

『同じですよ。正義でもなく、悪でもない。
ただ強いて言うなら、束博士が羊だとしたら、織斑先生は獰猛な狼と言う違いかな?』

「言うじゃないか」

『ハハッ。織斑先生ほどではないですよ』

「懲罰用のトレーニングは覚えておけよ」

う、墓穴を掘ったか……

「それでは私にはまだ仕事が残っているのでな。これで失礼させてもらう」

『そうですか。では、おやすみなさい』

「ああ。貴様も遅くならないうちに寝ろよ。
後、喫煙も大概にしろよ」

そう言って去っていく。

『ばれてたか……』

千冬さんが去った後、懐から煙管を取り出す。

柵に腰かけて、煙管に火をつけて、口にくわえる。

途端、先端から煙が上がる。

(にしても、千冬さんが白騎士の操縦者だったとはな……)

なんとなく予想はしていたが、いざ事実を知るとやはり驚く。

スーパァー

煙を吸い込み、吐き出す。

これは普通のものと違い、ニコチンなど入っていなく、ハーブなどの体に害がない物を乾燥させて作ったものだ。

匂いも臭くなく、逆にアロマの役割をしている。

(しかし、一夏もかなり成長してきたな……)

喜ばしいことだ。もう少し、後ほんのわずかの経験で俺といい試合ができるだろう。

“一夏を俺と戦えるようになるまで支える”

気づけばそんな目標ができていた。

同性でまともに戦えるやつはいなかった。
だからと言って女性を相手に手をあげることはできなかった。

だからかもしれない、“自分と同等に戦える相手を育てよう”と思ったのは……。

そんな目標も、もう少しで達成できる。

(その時には楽しませてくれよ、一夏)

ニヤリと笑い煙を吐き出す。

それは月が綺麗な夜のことだった。







翌朝。朝食を終えて、すぐにIS及び専用装備の撤収作業に当たる。

そうこうして10時を過ぎたところで作業は終了。

全員がクラス別のバスに乗り込み、IS学園へと帰る。

こうして臨海学校は幕を閉じたのだった。
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