IS夢小説
□第9章 学園祭
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夏休みも終わり9月3日。
『オラァァァァ!』
今日も第5アリーナに海人の声が響く。
いつもどおり的を破壊していくが、その使用しているISの形が少し違った。
IS“黒色無双”第二形態。
それは新たにワンオフ・アビリティーとして《鳴神》が、新装備として《秋雨》が加わったり、その他機能が第一形態より大幅にアップした機体だ。
スラスターが六枚になり、スピードも上がった。
そして、なぜか竜の尾の様なものがついている。
これはついているだけで、何の機能もない飾りだろう。
ここで軽く新機能について説明しておこう。
《鳴神》は本来、四肢に電気を送り込み、可動スピードを格段に上げるものだ。
だが海人は、その電気を飛ばして攻撃にも仕様するのだ。
これは威力、スピードがありかなり強力なものとなっている
だがその反面、エネルギーの消費が激しく、約10分発動させているとエネルギーが無くなる程だ。
次に《秋雨》について説明しよう。
近接格闘ブレード《秋雨》は、荷電性が高く《鳴神》仕様中に手に持っておくと、どんどん電気が貯まる仕組みになっている。
これは剣線から電気の弾を飛ばすこともできるし、そのまま相手に切りつけばその電気を帯電させることもできる。
このように新たな武器を利用しながら、次々に的を破壊していく海人。
その数が6000を超えたところでその動きが止まる。
『ハァ…ハァ……休憩するか』
ISを収納して仰向けに倒れる。
すると第2アリーナの方からブザー音が聞こえた。
(ん?決着がついたのかな?)
先程から第2アリーナでは、一夏と鈴音の模擬戦が行われていた。
これは海人の指示でやらしているものであり、新学期が始まってから一夏には模擬戦しかやらせてなかった。
その理由は一夏のIS“白式”第二形態を使い慣れさせるためだった。
第二形態となった“白式”は新たに多機能武装腕《アームド・アーム》“雪羅”が加わり、もともと悪かった燃費がさらに悪化したのだ。
さらに背部ウイングスラスターも大型化となり、エネルギーを大量に使用しるようになったのだ。
これらの課題を踏まえて、機体慣れさせるためにやらせているのだが、どうも成果が表れない。
さっきの模擬戦も一夏が負けただろう。
(これは戦術から変えさせないとダメかな……?)
軽く気が遠くなった。
ようやく自分と互角に戦えると思ったらこれなのだ、正直気が滅入っていた。
(まぁ、気長に待ちますか。
まだ卒業までに2年あることだしな……
それよりも―――)
ぐうぅぅぅ〜
『腹減った〜』
時刻は12時を過ぎている。
急いで立ち上がり食堂へ向かう海人。
そのうしろ姿を眺めている人物がいた。
「へぇ〜、あれが須王 海人君か…………なかなか良いじゃない♪」
ぱちん、と扇子を閉じる音が静かに、しかし確かに響いた。