フェアリーテイル夢小説
□序章
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『ふぅ〜、やっと終わった……』
積み上げられた人の山に腰を下ろして男が一息つく。
「うぅ……てめぇ、覚えてろよ……ぐぼっ!」
『だまれ敗者♪』
足元にいた奴をニコニコしながら踏みつけて黙らせる。はたから見るとどちらが悪役かわからない。
『あ、報告書書かないと……えーと、お前らのギルト名なんだっけ?』
「なっ!?名前もわからずに我々を潰したのか!?」
『そうだけど……問題が?』
不思議そうな顔をする。
まるでそれがあたり前だと言わんばかりに。
『まあ、いいや。それじゃ皆さんを監獄にごあんな〜い♪』
男が飛び降り、地面に手をつく。
途端、人の山の下に黒い渦が表れ、飲み込んでいく。
「う、うわーっ!なんだこれ!」
「い、いやだ……死にたくない」
「助けてくれー!」
口々に叫んでいる。だがその叫びも虚しく、どんどん飲まれていく。
「おい」
そのギルトのマスターらしき人物が男を呼び止める。
「最後にお前の名前を聞いてもいいか?」
『ん?別にいいけど……じゃあ、しっかり覚えておいてね♪
俺の名前は“カイト・フォーカス”だよ♪
じゃあねギルトマスターさん』
いつの間にか全員がいなくなっていた。
後に残ったのは、ボロボロになったギルトと闇ギルト“灰色の龍鱗”《グレース・スケール》と言う看板だった。
『さて、溜まっていた仕事も終わったし……帰りますか、“妖精の尻尾”《フェアリーテイル》に!』
その男の顔は先程までと違い清々しい笑みを浮かべていた。
夕焼けを背景にその男は鼻歌を歌いながら、マグノリアを目指していった。