フェアリーテイル夢小説
□第2章
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「嘘!!カイトがあの“道化”なの!?」
終わった途端、ルーシィが詰めよってくる。
『んー?道化?誰が?』
「だがら、カイトがあの有名な闇ギルド潰しの“道化”なの?」
「闇ギルド潰し?なにそれ?」
「知らないの?この間の週刊ソーサラでも一面に載ってたわよ!」
「あい。猫ですから」
「しょうがないわね、教えてあげるわ。
いーい?“闇ギルド潰し”ってのはね、その名の通り闇ギルドを潰す人のことなの。
それが妖精の尻尾の“道化”の仕業ってわかったのが数ヵ月前。
潰した闇ギルドの中には迂闊に手がだせない危険なやつらもいたって噂なのよ!」
う〜ん、なにやらルーシィが興奮してるな……と言うより俺って“道化”なんて呼ばれてるんだ……なんか少しショック。
『なぁ、エルザ。俺ってそんなに“道化”っぽく見えるか?』
「そうだな……言われてみればそうなのかもな」
『えぇ〜、身内から言われると余計にショック〜。
それより、ルーシィ。俺のどこが道化なんだよ〜?』
「あ、なんか戦い方からきてるみたいよ」
え?俺の戦い方が道化っぽい?
「目撃者情報では“まるで相手を弄ぶかのような戦い方だった”とか“道化のような服を着ていた”とかあるの。
でも、カイトって道化っぽい服着てないから気づかなかったわ!」
道化っぽい服って……身に覚えがないぞ?
「あー、それならカイトは持ってるよ」
おいおい、ハッピー。適当な嘘は止めとけよ……
「本当!見せて見せて!」
ルーシィも乗せられるんじゃないよ……
「いいじゃないか、カイト。見せるくらい」
『道化っぽい服なんて俺は知らねぇよ』
「そんなことはないと思うぞ」
そうか?う〜ん……俺の服の中に道化っぽい服は……
必死に頭の中のライブラリーを探していると、鉄の森の最後の一人が何処かへと向かって行った。
「エリゴールの所へ向かうかもしれん。ルーシィ、追うんだ!!」
「えーーーっ!!?あたしがっ!!?」
「頼む!!」
ギロリとエルザが睨むと、急いで追いかけていった。
「ふぅ……」
『お疲れ、エルザ。なんだったら、魔力回復させてやろうか?』
「いや、今はいい。それより住民を避難させないと」
『どうしてだ?』
「奴等の持っていた“ララバイ”とは音色を聴いた者を死に至らしめる“集団呪殺魔法”だったのだ。
それを奴等は駅周囲に流すつもりらしい」
集団呪殺魔法か……また厄介な代物を……ララバイ、つまり“呪歌”か 。
しかし、それを駅周囲に向けて流す?
う〜ん……何かが引っ掛かるような……
「早くしろ、カイト!」
おっと、女王様がお呼びだ。
『はいはーい。今行きますよ〜』
走りだした時には、引っ掛かっていたものが何かを忘れていた。