フェアリーテイル夢小説
□第3章
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駅の外へ出ると、野次馬がたくさん集まっていた。
エルザが近くにいた駅員から拡声器を奪い、警告をだす。
「命の惜しい者は、今すぐこの場を離れよ!!!
駅は邪悪なる魔導士どもに占拠されている!!!
そして、その魔導士はここにいる人間全てを殺すだけの魔法を放とうとしている!!!
できるだけ遠くへ避難するんだ!!!」
一瞬にして静まり返る人々。
だが、次の瞬間にはパニックになりながら駅を離れる。
『…………』
「?どうした、カイト。難しそうな顔をして」
『んー、どーも引っかかるんだよな〜』
「なにがだ?エリゴールはララバイで大量殺人を目論んでいるんだぞ」
『そう、それ。
今まで暗殺依頼をこなしてた人間がいきなり大量殺人なんかするか?』
「言われてみればそうだが……しかし、本当に大量殺人が目的かもしれん」
本当にそうか?
だいいち、クヌギ駅を狙った理由はなんだ?
確かにここは大きな街だが、それはここが列車の停留所になってるからだ。
大量殺人をしてギルドの株を上げるのが理由だとしても、それならもっと力を持った奴を標的にすればいいはずだ。
そう、例えば……ギルドマスターなんか!
『あ、そうか!エルザ、確かマスターは今、クローバーで定例会を行ってるんだよな?』
「あぁ、そうだが……まさか!?」
どうやらエルザも気がついたようだ。
『そうだ。多分、奴等の目的はクローバーの各ギルドマスターたちを殺すことだ!』
「だとしたらマズイ!急いで皆に知らせないと……」
後ろを振り向くと、風が吹いていた。
いや、風が唸りをあげながら駅を包んでいる。
「こ、これは……」
『こいつは確か“魔風壁”《マフウヘキ》って言う風魔法だ。
つーことは、お前の仕業か……エリゴール!』
「ハハハッ!大当りだ!」
「!?」
突然、エルザが弾かれ、魔風壁の中に転がりこむ。
「くっ、エリゴール!!」
エルザが素早く立ち上がり、外に出ようとする。
『やめろ、エルザ!こいつは中から出ようとすると、風が体を刻む魔法だ』
「ハハハッ!そう言うことだ、中で大人しくしてな女王様。
さて……おい、“道化”」
『そのあだ名、今日初めて知ったよ……』
「そうか、それよりよぉ……」
『断る!』
「……まだ、何も言ってないんだが」
『どーせ、“俺たちに力を貸せ”とかなんとかだろ?そんなのはお断りだ』
この手の勧誘は昔から受けている。
正直、うんざりだ。
『それより、てめぇを潰してやるよ』
「ハッタリはよしな。確かてめぇは攻撃魔法は得意じゃないんだったよな?」
うっ……バレてた……
「ははっ。それじゃあな」
すると、前方から吹いた風に押された。
その拍子に魔風壁の中に入れられる。
「てめぇ等のせいで、だいぶ時間を無駄にしちまった。
俺はこれで失礼させてもらうよ」
そう言い残すと、クローバーに向かって飛んでいってしまった。