フェアリーテイル夢小説

□第5章
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突如上空から何かが降りて、敵味方関係なく蹴散らしたのはそんなときだった。

「はァ―――!!!!」

「ナブ!!!ウォーレン!!!」

「何だアイツ……自分の仲間までやりやがった!!!」

「来いい!!クズども、鉄の滅竜魔導士ガジル様が相手だ!!!」

『アイツがガジルか……』

そう思った時にはすでに走り出していた。

『ガジル―――!!!』

ガン!!!

繰り出した拳はガジルの金属となった手に防がれた。

『てめぇがギルドを…仲間を……!!!』

「ギヒッ、それがどうしたんだ道化ェ!!」

すると鉄柱となった右腕が迫ってきたが、それを難なくかわす。
次に左腕、そして最後の蹴りは受け止めた。

「ほう……なかなかやる」

『当たり前ェだ』

「じゃあ、こんなのは―――」

『させるか……“侵蝕”』

俺の腕から出てきた数本の小さな黒い手は、掴んでいたガジルの脚に潜りこんだ。

「なに!?」

ガジルが苦痛に顔を歪める。

痛いだろうな……これは神経を直接支配する技…声を上げないのは大したものだ。

『だけど、いつまでもつかな?これは次第に脳にまで侵蝕するぞ』

「くっ、離―――」

「ガジル――――――!!!!」

そのとき、いきまりガジルが吹き飛んだ。

理由は簡単、ナツが殴り飛ばしたのだ。

「オレが妖精の尻尾の滅竜魔導士だぁ!!!
カイト!!こいつよこせ!!!」

『てめぇ……今からってときに邪魔しやがって……』

だが、次の瞬間にはナツが鉄柱で殴られた。

『ナツ!!!』

だが、ナツはそれを受け止めると、ガジルごと天井に投げた。

しかし、ガジルは空中で数回転すると勢いを殺して天井に踏みとどまった。

たが、気がつけば眼前にはナツがおり、殴り飛ばされた。

『チッ、やるじゃないか』

すると突然、ギルド全体が震えだした。

「!!!」

「な……何だ」

「地震!!?」

敵は激しく動揺しているが、妖精の尻尾はほくそ笑みを浮かべている。

「やべーな、これぁ……」

「な…な……何がだよ!!?」

ファントムの一人が尋ねる。エルザはそれに答えてやった。

「これはマスター・マカロフの“怒り”だ。巨人の逆鱗……もはや誰にも止められんぞ」

「ひ…ひぃ!!!」

「ウソだろ!!?ギルド全体が震えて……」

『それがマスター・マカロフだ。覚悟しとけ、マスターがいる限り、オレたちに負けはない♪』

まったく頼もしい限りだぜ……。

そう思ったのもつかの間、揺れが突然収まると、上から何かが落ちてきた。

「マ……マスター!?」

落ちてきたのはマスター・マカロフだった。

「あ…あ……う…あ……ワ…ワシの…魔力が……」

息を荒くしながら喘いでいるマスターからは魔力が感じられない。

「じっちゃん!!!」

「マスター!!!」

すぐにエルザがマスターに駆け寄るが、マスターは虫の息だ。

「ありえねえ!!!どうやったらマスターがやられるんだ!!!」

「一体……上で何があったんだ……」

困惑の最中、ファントムは好機と見たのか攻め込んできた。

「いけるぞ!!!これで奴等の戦力は半減だ!!」

皆反撃する気力がないのか、どんどん攻撃を受けている。

『チッ……エルザ!!これじゃ戦力どころか、士気の方の低下がヤバイんじゃねーか!!!』

「わかっている!!撤退だ―――!!!全員ギルドへ戻れ―――!!!!」

エルザの号令に皆不服だったのか、まだ戦おうとしていた。

『マスターがいなけりゃジョゼには勝てねえ!!撤退は命令だ!!!!』

皆渋々納得したのか、撤退を開始した。

「逃がすかぁ!!!妖精の尻尾!!!」

ファントムもそう易々と逃がしてくれないらしく、追撃をしてくる。

『チッ!あんまりしつこいとモテないぞ!!“パンドラ”!!』

追撃を加えようとする奴等は突如出現した金色の箱に閉じ込めた。

『早く撤退しろ!!!』

その叫びは虚しさを埋めるような声だった。
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