フェアリーテイル夢小説
□第6章
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ギルドに戻った俺は屋根の上で一服していた。
悔しい
それが正直者な気持ちだ。
マスターを守れなかった悔しさ、ギルドとレビィたちの敵を討てなかった悔しさ、撤退することしかできなかった己にたいする悔しさ……。
『チッ……情けねえな、俺……』
聞いた話によると、ルーシィはファントムにさらわれていたらしい。
そのさらわれた理由と言うのが、ルーシィの父親―――ハートフィリア財閥の社長からの依頼らしい。
つまりルーシィはお嬢様と言うわけだ。
だが、納得がいかない。
一年間も家出した娘をなぜ急に連れ戻そうとする?
『…わかんねぇな……』
ただ一つ言えることがある。
ルーシィは妖精の尻尾にいたいと泣いていた。
つまり、家族にピンチが訪れていると言うことだ。
そのとき、ズウゥン、ズウゥンと湖の向こうから何かが歩いてきた。
『って、あれファントムのギルドじゃねーか!!』
つーか、え?なんでギルドが歩いてるの!?何でも有りかコノヤロー!!
すると、ギルドのなかからも人が出てきて目の前の景色に驚いている。
屋根から降りると、近くにはエルザがいた。
「想定外だ……こんな方法で攻めてくるとは…………」
『どうする?エルザ』
「どうすると言われても……」
すると、ギルドの前方から砲台のようなものが出てきた。それはキィィィィンと高周波を出しながら砲身に魔力を貯めていく。
「アレ、魔導集束砲じゃねーか!!?」
「ギルドをふっ飛ばすつもりかー!!!」
「『全員ふせろォオォ!!!』」
そう叫んだときには俺とエルザは走り出していた。
「エルザ、カイト!!!」
「どうする気だ!!!」
どうするって……決まってるだろ?
エルザも同じ考えらしく、超防御力を誇る“金剛の鎧”に換装した。
「ギルドはやらせん!!!!」
『ふせろォオォ!!!!!』
次の瞬間、放たれた魔導集束砲は一直線にギルドに向かってきた。
『うおおおお!!!“混沌の門”《カオス・ゲート》!!!』
俺の前方に黒い渦が発生すると、魔導集束砲を飲み込み始めた。
“混沌の門”は魔力を強制的に自分の体に流し込む魔法。
だが、魔法の濃度が高すぎたり、威力が強すぎたりするとリバウンドが俺を襲う。
だが、エルザは捨て身でぶつかっているのだ。男の俺がそんなの気にしてる場合じゃない!!
「ぐああああっ!!!」
『うおおおおおおお!!!』
すると、魔法を支えていた左腕から大量の血が吹き出した。
だが、ちょうどそのときに魔導集束砲は抑えられ、霧散していった。
『っ……!エルザ!!』
“金剛の鎧”を纏っていたエルザはボロボロなって後ろに吹き飛ばされた。
「エルザ―――!!」
「しっかりしろ!!!」
『大丈夫か!!!』
急いで駆け寄るが、エルザは痛々しいくらいの傷を負っている。
【マカロフ……そしてエルザも先頭不能、カイトは負傷】
ファントムのギルドからジョゼの声が響いた。
【もう貴様等に凱歌はあがらねえ。
ルーシィ・ハートフィリアを渡せ、今すぐだ】
その声には怒気が含まれている。ルーシィを取り返されたのが余程悔しいと見える。
「仲間を売るくらいなら死んだ方がマシだっ!!!!!」
エルザの叫びに家族が呼応する。
「オレたちの答えは何があっても変わらねえっ!!!!!」
『おまえ等をぶっ潰してやるから、首洗って待ってろ!!!!』
オオオオオオ!!
ギルドが呼応するなか、ルーシィは嬉しかったのか一人泣いていた。