フェアリーテイル夢小説

□第7章
4ページ/4ページ


『じいちゃん……』

「無理をさせたな、カイト。早急にこの場を離れよ」

じいちゃんは俺に背を向けるとそう告げた。

その背中を見ていると、なぜだか安心感が湧いてくる。

『……わかった』

反論しようにも、この体たらくじゃ足手纏いになるのは目に見えている。

『“影移動”……』

絞り出した魔力で移動するが、それはすぐに消えてしまった。

出てきたところはまだ屋内、だが幸運なことに目の前にはエルザたちがいる。

「カイト!?」

「どうした、オメェ……ボロボロじゃねぇか」

『その言葉、そっくりそのままお前に返すよ、グレイ』

「しかし、どうしたんだ?ジョゼはどうした?」

『ああ、ジョゼなら……ゴホ!!』

言葉を続けようとした瞬間、咳き込んでしまう。

それは一向に治まらず、手を見ると吐血していた。

(あー、くそ!やっぱ魔力が少ない状態で“狂乱の道化師”はきつかったか……)

“狂乱の道化師”は戦闘力をかなり上げる反面、自我が崩壊する危険な技だ。

しかも、魔力が少ないと体にはかなりの負担がかかるので、普段はめっきり使わない。

「お、オイ!カイト!」

『悪ぃ……ちょっと今動けねぇや……運んでくれ』

「仕方ねぇな……エルフマン、手ぇ貸せ!」

「お、オウ!」

言うなりグレイとエルフマンに肩を担がれた。

『うぅ、汗臭い……どうせならエルザかミラちゃんにしてほしかった……』

「そんな無駄口叩けるなら大丈夫だな」

エルザさん辛辣だな〜。もう少しけが人を労ってもいいじゃないか……

瞬間、なぜだか暖かい魔力に身を包まれた。

(あぁ……じいちゃんの“妖精の法律”《フェアリーロウ》か……)

“妖精の法律”は術者が敵と認識したやつにしか効かない魔法。
妖精の尻尾、三大魔法の1つで、もはや伝説級の代物だ。

(あ、ヤベェ……安心したせいかな……クソ眠ぃ……)

ウトウトしていると、いつの間にか意識は途切れていたのだった。

 
次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ