フェアリーテイル夢小説

□第5章
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ミラちゃんに案内されて着いた場所はギルドの地下だ。
そこには妖精の尻尾のメンバー全員が悔しそうにしていた。

ただ一人を除いては……。

「よっ。おかえり」

マスターは気持ち良さそうに酒を飲んでいた。

「ただいま戻りました」

「じっちゃん!!!酒なんか呑んでる場合じゃねえだろ!!!」

「おー、そうじゃった」

ナツの一言で我に帰ったと安心した矢先、じいちゃんはそんなたまじゃないと思い出した。

「おまえたち!!勝手にS級クエストなんかに行きおってからにー!!!」

「え!?」

「はァ!!?」

意味が解らないという声が上がるが、じいちゃんは構わず続ける。

「罰じゃ!!!今から罰を与える!!!覚悟せい!!!」

「それどころじゃねーだろ!!!」

ナツの言葉を無視して繰り出された罰とは……

「めっ」

「!!!」

なんとも軽いチョップだった。

「めっ」

「痛て」

「めっ」

「あぎゅ」

「めっ」

「きゃっ」

なぜかルーシィだけはお尻にされていた。ミラちゃんが注意するが案の定無意味だ。

そんなマスターの態度にさすがのエルザも我慢できなかったらしい。

「マスター!!!今がどんな事態かわかっているんですか!!!」

「ギルドが壊されたんだぞ!!!!」

ナツとエルザの迫力にも動じず、じいちゃんはめんどくさそうに答えた。

「まあまあ、落ち着きなさいよ。騒ぐほどのことでもなかろうに」

『!!』

さすがに驚いた。まさかじいちゃんの口からそんな言葉が出るとは……。

「ファントムだぁ?あんなバカタレ共にはこれが限界じゃ。誰もいねぇギルドを狙って何が嬉しいのやら」

『誰もいないギルド?』

その疑問はミラちゃんが答えてくれた。

「襲われたのは夜中らしいの」

「ではケガ人は出なかった訳か……不幸中の幸いだな」

「ふいうちしかできんような奴等にめくじら立てる事はねぇ。放っておけ」

だが、ナツは納得いかないらしい。
カウンターに身を乗り出して抗議してきた。

「納得いかねえよ!!!オレはあいつらを潰さなきゃ気がすまねぇ!!!!」

「この話は終わりじゃ。上が直るまで仕事の受注はここでやるぞい」

「仕事なんかしてる場合じゃねえよ!!!!」

「ナツぅ!!!いい加減にせんかぁ!!!」

怒ったじいちゃんは先程のチョップを繰り出した……なぜか、ルーシィのお尻にだけど……。

「つーか、ちょっと待て……もれそうじゃ」

そう言ってじいちゃんはそそくさとトイレへと行ってしまった。

残された俺たちは奥歯を噛み締めることしかできない。

「なんで平気なんだよ…じっちゃんは……」

「ナツ……悔しいのはマスターも一緒なのよ。
だけどギルド間の武力抗争は評議会で禁止されてるの」

「マスターのお考えがそうであるなら……仕方…ないな……」

皆はもう、押し黙るしかなかった。

そして納得のいかないまま夕日は沈んでいく。
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