□君は毎朝僕の横にいて ★
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2人が恋人同士になったのは中学三年生の時だった。
『不二周助さん!』
部活が終わった不二が仲のいい三年生の部員達と帰っていたら急に名前を呼ばれ後ろを振り返った。
『どうしたの英二?急に改まって…』
普段は不二と呼ぶ菊丸が不二さんだなんて。
他の部員達も何だかおかしくて笑ってしまう。
『ちょっといいですか…』
不二の手を引きながらまだ敬語な菊丸。
『ほんとにどうしたの?』
不思議に思いながらも不二は手を引かれるまま菊丸について行った。
『変だよ?英二…?』
手を引かれ連れて来られたのは何度か遊びにきた事がある公園だった。
テニスコートがある公園でそれ以外には小さな子供が遊べる遊具とベンチがあるくらいだった。
部活が終わった後だったので回りは暗くなりかけている。
2人の他には人の気配もない。
『ごめん急に…』
『本当に変だよ?何かあったの?』
不二が心配そうに顔を覗き込むと真剣な表情で菊丸が不二の肩を掴んだ。
『えっと…その…』
何かを言おうとしてやめるのを何度か繰り返した菊丸は一度大きく深呼吸した。
『好きです…不二周助が好きなんです!』
菊丸は大声で叫ぶように告白した。
不二は驚いて目をパチパチさせ菊丸を見つめた。
『好きなんです!俺と付き合ってください!』
菊丸の顔は真っ赤で必死な表情で不二に訴えた。
『え…英二、僕男だよ?』
不二はそんな菊丸の視線を受け止め真剣な表情で確認する。
『わかってる…でも中学入って一年生の時からずっと好きだったんだ…気持ち悪い?』
泣きそうな顔になる菊丸の頬に不二の手が伸びる。
『まさか…英二本気なの?』
『本気!…です!』
菊丸の両頬を包み込み不二はふわっと優しく笑った。
『僕も本気…英二が好きです。』
『へ?』
今度は菊丸が目を見開いて不二の両手を掴んだ。
『本当に⁉夢⁉じゃないよね⁉』
目をキラキラと輝かせる菊丸に不二も幸せそうに笑う。
『やっ…たぁっ‼』
『わっ…英二⁉』
大声で叫ぶと同時に不二を抱き上げ子供のように喜ぶ菊丸。
『よろしくお願いします。周助…///』
初めて不二の名前を呼んで照れる菊丸。
不二もなんだかくすぐったい感じがして笑った。
『こちらこそ…ねぇ一つ聞いていい?』
『なになに?』
『なんで敬語だったの?』
首を傾げる不二に菊丸が恥ずかしそうに言った。
『姉ちゃんがさ…告白時はちゃんとしなさいって…///』
2人は顔を見合わせて大笑いした。
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