□君の声
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あぁ俺はなんてバカだったんだろう。
必死な表情で言う10代目。
もしかしたら今までずっとそれで不安にさせてたんだろうか。
こんなに大好きな10代目に…
本当に俺はバカだった。
「すみませんでした10代目…いや、沢田さん。」
なかなか呼べなかった10代目の…いや沢田さんの名前。
やっぱり俺には難しく、名字で呼んでしまった。
でも沢田さんはとても嬉しそうに頬を赤くして笑ってくれた。
俺は嬉しくて幸せで思わず笑ってしまう。
こんな思い今までしたことなかった。
本当に沢田さんはすごい。
「失礼します…沢田さん。」
俺はギュッと沢田さんを抱き締めた。
柔らかい髪に顔を埋めてつい強く抱き締めてしまう。
抱き締めた沢田さんは予想通り細くて小さくて温かかった。
でもすぐに壊れそうだと思って少し力を弱めた。
「あったかいです沢田さん…大好きです。」
「うん…///俺も好き///でもやっぱり獄寺君手、冷たくなってる…」
沢田さんは自分の手袋を外し、俺の手にはめて…
「マフラーの代わり。」
にっこり笑った。
嬉しくて可愛くて生まれて初めて眩暈がした。
「てもこれじゃ沢田さんが…」
俺が手袋を外そうとすると沢田さんは首を横に振る。
「いいの。オレだって大好きな獄寺君に何かしてあげたいんだ///」
照れたような笑顔で言う沢田さんはすごく可愛らしい。
そんな顔でそんなこと言うなんて反則です。
俺あなたが好きすぎて倒れそうです。
冬も嫌いだったのに今好きになりました。
「俺冬好きかもしれません。」
思わず呟いた言葉に沢田さんは照れた様子で否定した。
「オレ寒いよりあったかいほうがいい。早く冬なんて終わればいいのに。」
そっぽ向きながら言う沢田さん。
「…俺もそう思います。」
「え⁈今好きって言ったじゃないか。」
あまりの変わり身の早さに呆れた表情で俺を見る沢田さん。
でも本当なんです。
だってあなたが好きなんです。
愛してるんです。
呆れられても仕方がないくらいあなたが好きなんです。
「沢田さんが嫌いなモノなんてこの世から消えればいいと思います。」
本当にそう思うんです。
あなたを悩ますモノなんてこの世から消し去りたい。
「獄寺君が好きなモノでも?」
「俺にあなた以上に好きなモノなんて…必要なモノなんてないんです。」
沢田さんは困った顔で、でも笑ってくれた。
「獄寺君って本当困った人だね。でも…全部好きだよ。」


君と付き合い出して初めての夏。
君がオレの名前呼んでくれた初めての日。
君は覚えてる?


「沢田さん…本当に行くんですか?」
リボーンが気を遣ってくれたらしく花火大会に獄寺君と2人で行ける事になった。
オレはすっごく楽しみにしてて態々今日の為に浴衣まで着たんだ。
獄寺君にも父さんの浴衣を着てもらって準備は万全…
それなのに。
「行くよ?だって花火見たいし…」
花火もだけど獄寺君と2人で過ごすのが楽しみだったんだ。
それなのに。
花火大会で夜店が沢山出る通りに向かう途中、獄寺君は立ち止まってしまった。
花火大会に向かうであろう人達がオレ達を追い越して行く。
みんなとても楽しそうなのにオレ達2人は浮かない顔で俯いていた。
「なんだよ…オレと行きたくないなら初めからそう言ってよ!」
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