短き物語
□呆れた友の話
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なにが足りないのか分からなかった。
奴よりも俺は優れていて、
奴よりも、俺は人に好かれると思っていた。
そういった、確信に近いものがあった。
けれどそんな確信とは裏腹に、本質はハリボテな世界はあっという間に崩れて。
呆然と、した。
理解が追いつかなかった。
浴びる冷たい言葉と視線。
何も思わないハズのからくりなのに、苦痛になったのはいつからだろう。
そして、この世界に俺は何を求めたのだろう、と。
そんな中、酷く安心したのはいつだったか。
それは確か、
冗談でも、奴が友と言った時。
心底呆れた。
傷付けたハズなのに、そう言った奴に。
心底呆れた。
その事に喜んだ、俺自身に。
呆れた友の話