ALO:SUGUHA-一途な想いをあなたに

□プロローグ
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季節は初夏に向かう5月半ば、直葉が通うT高校は今では部活動が盛んな高校である。
直葉がいる剣道部は校舎そばの木造建築の道場があり、男女部員50人程いる中に一際輝く部員が直葉であった。

「桐ヶ谷さん!上がって良いわよ」
「お先に失礼します」
練習が終わり部室に着替えに行く直葉と2年生部員、1年生部員は後片付けをしている。

更衣室に入った直葉と2年生部員は、いつも通りの多和いもない会話をしていた。
更衣室のドアが開き女子部長笹田が直葉に
「桐ヶ谷さん…私と職員室来てくれない?」
「分かりました…」
何だろうと首を傾げながら、笹田の後ろを付いて行く。

職員室に入ると奥の方から声がした。
「お〜いこっち こっち」
剣道部顧問の多田である、多田はこの高校の卒業生で剣道部の主将もした強者でもある。
「そんなに大声出さないで下さい!」
「ワリイ…実はさ〜笹田が9月から就活時期に入るから、桐ヶ谷が部長代理の指導役になってもらいたいんだが」
「でも、私はそんな事出来ないし…」
「何言ってるのよ…先生にこの事言ったのは私よ」
「そうだ!何も桐ヶ谷1人じゃない…あと数人選ぶ、その中でも桐ヶ谷が1番出来が良いからな、笹田と話し
あって決めた」
落ち着いて深呼吸した直葉は
「至らない事があるかも知れませんが、宜しくお願いします」
深々頭を下げて、笹田と多田はご満悦の顔をしていた。

職員室を出て更衣室に戻る笹田と直葉は指導役の会話をしていた。
「部長…実際どのようにしたらいいですか?」
「1年生の剣道の基本を教えればいいだけだから、あまり深く考えないで」
「はい!頑張ります」
「その意気よ、頑張って」

更衣室に入り2年生部員は帰宅した模様で、笹田と直葉は着替え始めた。
「部長は卒業して就職するんですよね?もう決まっているんですか?」
「事務員として働こうかと思っているの」
「そうですか…」
「桐ヶ谷さんは卒業したら、どこいくの?」
「大学進もうかなと」
「そう!いけたらいいわね…じゃ道場戻るから、気をつけて帰ってね」
「はい…!」
ブーッ ブーッ ブーッ
ロッカーから携帯メールの音がして、直葉が携帯を取り読んでみる。
(直葉 校門前で待ってるよ♪)
相手は直葉より1つ先輩の郷田 昌で、現在付き合ってる男でありサッカー部の部員である。
「早くしないと♪」
そう言いながら着替えを終えて、更衣室を出て自転車置き場に駆け寄り校門前に行く。

「昌さん!お待たせ〜」
「遅いぞ…」
郷田の身長は180センチ位あり直葉が見上げる位置にある。
「公園散歩するか?」
「そうね…行こう」
2人は公園に行く事にした。
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