ALO:SUGUHA-一途な想いをあなたに

□裏切りの予感
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7月中旬は毎年のごとく気温が35度を超える日々が続いてる、剣道部は8月の全国大会に向けてレギュラー部員が汗を流している。

「桐ヶ谷さん…そろそろアップして!」
「はい!」
部長に渇を入れさせられて、皆が真剣に練習していた。
レギュラーになった直葉はいつもより気合いが入っていた。

「いい!みんな…再来週から1回戦が始まるから、無理なく練習して最高のコンディションでやりましょう…じゃ解散」
「した!」

直葉はいつも通り更衣室で着替えて、自転車置場に行き校門を出る。

自宅に着き家に入ろうとした時道場から音がする、気になったので見に行くと和人が胴着を羽織り竹刀で素振りをしていた。
「何してるの?お兄ちゃん」
「あっ…スグ お帰り」
「珍しく道着なんか着て…なんの心境?」
「スグがレギュラーに選ばれてさ、なんか手伝いになればいいかなとさ…」
「別にないけど…」
「……」
「そんなに落ち込まないで…ごめんね」
「そりゃ…すぐに剣道やめたよ、ブランクありすぎるし…」
道場の隅でいじける和人。
「分かったわよ…一緒にやろう」
「そうか…ありがとう」
「でも…なんでまた急に…」
「マジに手合わせしたのはSAO帰還後
だけだし、どれだけスグが成長したか確かめたいし」
「へ〜じゃ私手を抜かないからね♪覚悟しておいてよ」
奥の方に行き道着と防具に着替えて戻って来る直葉、凛々しい直葉がそこにあった。

向かい合い礼をして竹刀を合わせる。
「凄い気合いだな…スグ」
「伊達に部活やってないわよ」
「行くぞ!!」
「片手持ちはないの?」
「剣道の型でやりたいからさ、真面目にするよ」
「こっちも気が抜けないな〜それじゃ行くよー」
先に仕掛けたのは直葉だった。
バシッ バシッ バシッ
競り合いが激しくどちらも押している、間をとりながら目を睨み付けお互い真剣に競り合う。

10分くらい競り合いが激しく行われ和人が息切れしはじめた、それを察知した直葉がダッシュした。
「めーーん」
一閃に面を和人に当てて和人の背中越しで止まる直葉、2人揃って面を取り直葉が訪ねる。
「お兄ちゃんが真面目に私とこれをやるときは、なんかあるんでしょ?」
「…スグに言うほどでもないんだけど」
「明日奈さんの事でしょう?」
「……」
「 言わなくてもいいわよ…それと私DBO買って、レベル上げたけど私もまぜて」
「いや…明日奈達と先の方へ進んでいるんで…スグがログインして
も、何日間は合流出来ないし」
「なによ!私はいつも仲間外れ…お兄ちゃんと明日奈さんばっかり…」
「スグとは遊びたいけど…ほら クラインとか待ってるし…それにスグには彼氏とか長田とかいるじゃないか」
「…そうよね…お兄ちゃんは明日奈さんが大事だし、私とじゃつりあわないもんね…」
「それは違う」
直葉が靴を履き外に向き、ゆっくり和人に向き直り涙を浮かべて。
「私は明日奈さんを越えられないから…」
「スグ!」
肩を落としながら母家に帰る直葉は、和人との溝ができはじめていた。

食卓に4人で食事をするなか和人と直葉は黙ったまま食べていた。
「直葉ちゃんなんかあったの?」
「別に…」

「ごちそうさま…」
食事を終えて自分の部屋に行く直葉、扉を閉めベッドにあったぬいぐるみをあちこちにぶつけていた。
「何よ!!何よ!!明日奈さんが現れて、私のお兄ちゃんを横取りして」
和人と明日奈が直葉の前に現れた頃は自分に姉ができたかもと思ったが、和人と明日奈がべったり仲良くしているのを見たり桐ヶ谷宅に明日奈が訪れていたりしていると嫉妬心が芽生え始めていた。
和人と直葉の時間が殆んどなくなり郷田との時間が増えたのは良かったが、幼い頃和人
との距離が離れSAO帰還後は和人とのデートが増えた分直葉は置き去りにされた。

ベッドの脇にあったDBOのソフトをゴミ箱に捨てる、先月に中古のDBOを購入して和人とプレイをしたいがために和人に断れてしまった。
「お兄ちゃんは私なんか眼中にないんだ…」
直葉は顔を枕に埋めて泣いていた。
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