ALO:SUGUHA-一途な想いをあなたに

□未来へ〜明日奈、サヨウナラ〜
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アンダーワールドから帰還した和人は一年間VRMMORPGの中で過ごしたが、現実生活に戻った時は既に十八歳になっていた。
一年間VRMMOに馴染んだため現実世界の和人は空虚な感じになっていたが、直葉の懸命なサポートにより笑顔が戻り始めて一ヶ月が過ぎ去ろうとしていた。

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明日奈は和人が来るのを待っているため噴水がある公園のベンチで待っていた。

(今日は絶対言おう……和人と別れるって)

正門から和人が明日奈めがけて歩いて来ていた。
「明日奈……何の用だ?」
「和人解るわよね?」
「横……座っていいよな?」
「話しそらさないでよ!」
お互いベンチに座らず立ったまま会話しようとしていた。
「和人……来年私はアメリカに行く事になったの」
「明日奈がアメリカって、俺と一緒に行くはずじゃなかったのか?」
「その前から行く事が決まっていたのよ」
「その前からって……俺の事どう思って」
「和人は私と一緒にいたいのでしょう?」
「そうだけど…」
「私は安定を求めたいのよ!」
「じゃ…俺の事は嫌いになったのか?」
「別に和人を嫌いになった訳じゃないわ」
「……」
暫しの無言が2人の空間に漂う。
「アメリカに行くのは何の為に?」
「兄さんの仕事の手伝いで向こうに定住するから、日本には戻らないわ」
「そうか……それじゃこれからは俺達は
、友達同士になるんだね?」
「そう…それと、これからはSAOにいてもいつも通りでお願いね!」
そう言いながら和人に背を向けて帰って行く明日奈であった。

ベンチに座り頭を上に傾けて涙を堪えている和人、懐に入れてあった携帯がなったので出てみる。
『お兄ちゃん?今何処にいるの?』
直葉からの電話だったようだ。
「公園にいるよ…」
『その声だと、明日奈さんに言われたのね?』
「分かるのか?」
『私…前に明日奈さんからこの事は、絶対お兄ちゃんに言わないようにと言われてたから…』
「俺が明日奈を止めようとするのを、知っていたからだな」
『お兄ちゃん ご免なさい』
「スグが謝る必要はないよ、反対にケリが付いたよ」
『無理して…』
「スグは何でもお見通しか……」
『お兄ちゃん?』
「スグ!虐めてた女の子がいたって前にも聞いたけどさ、その子の名前何ていうのかな?」
『あ…新井萌絵』
「悪かったなスグ、嫌な思い出なのに」
『ん〜ん…だけどそれを聞いてどうしたの?』
「刑事から聞かれてさ、その新井萌絵って子さ…転校したんだと」
『そう…それなら余計に今の学校にもケリがついたわ』
「じゃ どうする?」
『通信教育の授業を受けて大検ね!そして大学へ行こうと思っているの』
「そうか…俺に出来る事あったら言えよ!」
『うん 分かった』
「じゃ!」

ベンチから腰を上げる和人は公園の外へと出ていく。
*****************
その夜久しぶりに自分の部屋で寛ぐ和人は棚に置いてあるナーブギアを暫く見つめていた。
デスゲームにはまりアスナと出逢いその後数年続いた愛は今日終わった。

呆けていた和人はいつの間にか被っていた、二度とALOに入るまいと考えてはいたが体が反応してしまう。
ベッドに横になり何の気のなしにいつもの言葉を言う。
「リンクスタート」

ALOにログインするはずが周りが真っ暗になったままだった。
『キリト…久しぶりだな』
「誰だ?」
暗闇の彼方からぼんやり見えたのはバレン洞窟にいたキリトとデュエルしたルシファーだった。
『礼をしにワザワザお前の所に来た』
「礼を?」
『バレン洞窟は先日ALO内から消え去った、何でもユイとか言うやつにプログラムリセットさせたとか』
「ユイが?」
『まあ…それは礼だが、キリト…忘れてはいないだろう』
「罪を被れか?」
『もっと詳しく言うならリーファの為に命を天秤にかけろ、さもなくば脳のダメージを2年後に増幅させる』
「脳の病気か?」
『それはその時に分かる、いいか…リーファは2年間お前を看病してお前を支えに生きていた』
「…………」
『それをお前はデスゲームでアスナと恋人になった…そして2人の仲を知ってリーファは深い傷を負った』
「それは後で仲良くなったが…」
『愚か者が! 例えリーファと仲良くなっても所詮は兄妹で仲良くなったに過ぎん!』
「兄妹が仲良くなってはいけないのか?」
『ならば…血の繋がりのない女リーファであったら、好きにでもなったか?』
「それは」
『…まあ…人間の恋愛は俺には興味はないが、一生リーファを見守らなければお前が不幸になると覚悟しておけ!』
「オイ!」
そのままルシファーは闇へと消えた。

気が付けば目覚めていた和人は天井を見ていた。

バスルームでシャワーを浴びながら呆けていると直葉が脱衣所に居る気配がした。
「スグ?…」 
「何だ…居たのお兄ちゃん!」
「どうかしたか?」
「それはこっちが聞きたいわよ、ボーッとしてるのが長いわよ!」
「明日奈…女性って男に何を期待するんだろうな?」
「分かるわけないじゃん! でも…女性は現実の未来を想像するからね」
「現実の未来か…」
「お兄ちゃんは明日奈さんが海外に行くのに空港に行かないの?」
「その時に考えるよ」
「そう…」
「スグ…ユイからメールが届いたとか?」
「うん…」
「何て言っていた?」
「さよならって何ですか? だって」
「そうか、さよならか…」
「…………」
「スグ…一緒に風呂に入らないか?」
「入るわけないわよ!」
「冗談だよ」

その頃明日奈の家では両親とリビングで明日奈の将来の事を話していた。
「明日奈、本当に海外へ移住する覚悟は出来ているんだな?」
「ハイ!」
「明日奈…あの桐ヶ谷さんとは、どうしたの?」
「別れたわ…」
「未練がないわけね?」
「ないわ」
「では、手続きを開始するから後には戻らないぞ…いいね?」
「ハイ」

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