ダンボール戦機(W)(WARS)
□吸血鬼と人間
3ページ/4ページ
「いや…僕は吸血鬼…」
「その黒いマントに尖った牙、相当なマニアだと分かりました!!」
ついていけない
そう理解したユウヤは話を変えようとする
「どうして君は魔女何だい」
「村の人がそう言ったからです」
「村?」
「はい、この先にある村の事です」
人間の話を聞くと小さい頃、母親を無くし引き取られた人間は先の未来を予知する事が出来た
まぁ予知と言っても不思議な力がある訳ではなくただ観察能力が高く『あの柱は倒れる』と言えば本当に倒れた、それだけだった
だが村の人間はそうは思わなかったらしく言った言葉が何度も現実になり次第に人間を気味の悪い目で見始め、最後には『お前は魔女だ』とこの森の中に連れていかれたらしい
ユウヤは話を黙って聞いていた
実際よくある話なので対して驚きはしなかった
だが大抵の人間は村への憎しみや復讐をしようと考えたりするものだ
しかしユウヤの目の前にいる人間からはそんな気配は見られなかった
「君は恨んでないのかい」
自然と口からそんな言葉が出た
人間はきょとんと不思議そうな目をユウヤに向ける
「当たり前です」
「君は魔女じゃない、村の人間は気味の悪い君を追い出したかっただけだ」
何を言ってるんだと思う
こんな言葉をぶつけて八つ当たりも良いところだ
「…」
人間は何も言い返さない
しばらくユウヤをじっと見つめていた
「復讐なんて駄目です」
「っ!!」
「復讐しても何も戻ってはこないんです」
「じゃあ君は奪われた怒りを忘れろって言うのかい!!」
観察能力が高いと先程言っていたがユウヤが復讐したいと思っている事まで見抜かれてしまったようだ
人間の言葉にユウヤは冷静を失った
「忘れる必要はないと思います」
「なら…」
「でも怒りをぶつけても失ったものは返ってきません」
当たり前の事だ
奪われた命は返ってくる事はない
だが残された者の悲しみはどうすれば良いのだろう