何も属さない小説

□元超高校級の幸運は幸福という名の愛に怯える
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僕の才能は幸運がくれば後に不運が訪れる
その逆もあり
大きければ大きい程降りかかる幸運も不運も同じだけやってくる

だから今が一番怖い

毎日が幸運に包まれている今が…



ガチャ

「ただいまぁ」

家に帰ると玄関は真っ暗だった
何時も出迎えてくれる妻と息子がいない

「あれ?居ないのかな」

玄関の明かりを付けるとそこにはちゃんと靴がある

「ママ?」

奥へと進むに連れ何処も真っ暗なままである
彼女達は何処へ行ってしまったんだろうか

『行ってらっしゃいパパ!』
『いっらっしゃい』

今朝は二人で見送ってくれたのに
あの毎日が幸運の時間が…幸運?

「まさか…今になって…不運が…っ」

今までが幸運過ぎて忘れてた今まで大きな不運が無かったから忘れてた
僕の…僕の超高校級の幸運…としての才能

「あはっはははははははは!!!!」

笑いが止まらない
毎日の幸運を当たり前のように感じていた自分に
近付いていた不運に気付かなかった自分に

「あぁ、不運だ」

あぁ、絶望だ

「あっげほっははははっ」

苦しい、息ができなくなる
このまま僕も二人の所にいけるかな

「さっきからうるさいですよ」

あぁ幻聴かな
僕を迎えにきてくれたの?

「聞いてるんですか?」

大丈夫、今行くからね…

ゴンッ

「痛っ!!」

僕を向かえたのは後頭部にはしる強烈な痛みだった

「あれっ!?イズル」
「何をしてるんですか貴方は」
「あのねイズル何時も言ってるけど…」
「何をしてるんですかパパ」

途端に自分が今まで恥ずかしい事を口走っていたのに気付く

「そっそんな事より!今まで何処にいたんだい」

慌てて会話を反らす

「…何処って庭ですが」



庭に向かうと確かにママはいた
しかも呑気に眠っている

「最近は温かくなってきましたが、夜はまだ冷えますからね」

確かにママも寒いのか丸まっている状態だ
何時までたっても子供みたいな人だったがまさか庭で眠ってしまうとは

「ですから貴方…ゴホン、パパに運んで貰おうと」

良かった二人は消えたわけじゃなかった
安心したせいか急にお腹がすいてきた

「さぁ、部屋に戻ろうか」
「今日は外食ですね」

温かい家族生活
僕の幸運な毎日はまだまだ続く




END
 

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