ブラコン:長編
□何かが変わる音がした
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『お、大きいですねー・・・』
予想以上の広さ。
思わず感嘆の声を上げる名前。
「うん、ココは何でも揃ってるよ。家具以外もあるから便利だよ」
『へー・・・、あ!梓さんありがとうございます!!』
「・・・?お礼は言わなくても良いよ?」
『いや、でも・・・』申し訳なさそうにする名前。
ーー・・・今更ながら申し訳なさが・・・。きっと梓さんはお仕事がお休みだったんだろうな・・・。
折角のお休みを・・・。
「いいよ、いいよ。気にしないで」そう言い梓はニコリと笑う、名前はまだ納得してなさそうな顔をするが梓は再度気にしないで、と笑う。
「じゃあ家具は3階だから、行こっか」と言い、名前も素直に頷く。
「で、何買うの?」
『えっとですね、テレビと棚は最低限欲しいです』
「あー・・・そうだね、収納は必要だね」
『はい、しまう場所が無いとホントに困ります・・・』
「だね、じゃあ優先的に棚とテレビ買おうか」
『はい』
***
『ふぅー・・・疲れた・・・』
家具の後に服や雑貨を買い、名前の足は限界だった。
そして梓の提案でカフェへ。
「お疲れ、はいカフェオレで良かった?」
『あ、すみません・・・!あのいくらでしたか?』
名前が鞄から財布を出そうとする瞬間、梓がそれを停止させる。
「いいよ、俺のおごり」
『いや。でも・・・』
「ね?」
『・・・ありがとうございます』
ペコリと名前は頷きカフェオレを口にする。
「どういたしまして」
梓は名前と対面するように座る。
『あの、そういえば今日椿さんは?』
「仕事だよ、朝からなんだって大変だよね」
『あぁだからか・・・』確かに今日は一度も姿を見なかったと思い出す名前。
『梓さんは何の仕事してるんですか?』
「声優、椿もそうだよ」
『へー・・・双子で同じ職業・・・。やっぱ仲良しさんなんですね』
ーー・・・普段から一緒にいるもんね・・・。
「仲良しかどうかは分からないけど、悪くはないのかな・・・?」
『どっからどう見ても仲良しさんですよ』
つかさず名前がツっこむ。
素早い名前の反応に梓は口元を押さえた。
「そっか、・・・あ。あとね僕達は双子じゃなくて三つ子だよ」
『え!!!!』
思わず声を荒げる名前。
梓はその表情を見て、予想どうりだなぁと笑う。
「本当は三つ子なんだ、棗って言ってね。名前が初めて来た日は偶々来れなかったんだけどね・・・。でもいつか会えるよ」
『・・・棗さんですか・・・。楽しみにしてます』
ーー・・・棗さん?まぁ・・・いつか会えたらいいな。
どんな人なんだろう・・・。