ブラコン:長編
□雅臣
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『あ、雅臣さんお帰りなさい』
深夜一時を過ぎたのに彼女の姿が。
ただでさえ他の兄弟達が起きてるのすら珍しい時刻だというのになぜ名前ちゃんが・・・?
「どうしたの?こんな時間に・・・」
『雅臣さん待ってたんです』そう言い名前ちゃんがガタリと椅子から立ち上がった。
「僕を・・・?なんで?」予想もしなかった返事・・・驚きもあるが喜びも感じた。
『最近雅臣さん夜に帰って来ること多いじゃないですか・・・ちゃんとご飯食べてるか心配になっちゃって』
名前ちゃんはキッチンに立ち、元々用意していたのか冷蔵庫から数枚のお皿を出す。
『しっかり食べてますか?』
「・・・あんまり」
やっぱり、と言いたげな名前ちゃんの視線。
『自分の事もしっかり考えないと・・・』ピッと名前は冷蔵庫から取り出した皿をレンジへ。
雅臣は返す言葉も無く頬をかいた。
「もしかして・・・僕の為に起きててくれたの?」
『そうですよー、朝は言おうとしても行っちゃってるし言っても多分雅臣さん食べないでしょう?』
「あははっ」
ーー・・・見破られてるなー・・・。
『そろそろ出来るんで椅子座ってください』コトッと名前は机に2つずつコップと箸を置く。
***
『いただきまーす』
「いただきます」
名前と雅臣は手のひらをキッチリ合わせ、箸を掴む。
「名前ちゃんさ・・・」
『何ですか?』
「何で、ご飯も食べないで待っててくれたの?用意してくれたら僕は一人でもー・・・」わざわざ一時まで起きていなくても・・・。と僕は思ってしまった。
きっと待ってている間眠かったに違いない・・・それなのに・・・。
『一人より二人の方が良いじゃないですか』
まるで当たり前かのように名前は答える。
『雅臣さんは一番お兄さんですけど、私の前ではもっと甘えてもいいんですよ?』
ズズッと味噌汁をすすってから名前は続ける。
『だから私の前では無理しないでくださいね?』
ニコッと名前ちゃんは僕に微笑む。
自然と頬が緩んだ。
甘えて。
初めて言われた言葉だ。
「ありがとう」
二人は笑いあった。
深夜の優越感
***
夕羽さんからのリクエスト 13.8.25
end.