Free!:中編

□君が僕の前に現れた日
1ページ/4ページ




After the 7th







「来週から、クロールのテストを行う」






***




『はぁー、どうしよう』


私はベタベタと張り付く水着を脱ぎながらため息をつく。
テストとか・・・。休もう。


「ははっ、そうだね。あんた本当に泳げないもんね」


『笑わないでよー、本気で泣きそうなんだから』


「ごめんごめん、・・・でもさーアンタいんじゃん」


『何が?』友人の発言がいまいち理解できない。


「えっとー滅茶苦茶イケメンの鮫柄のー・・・」


『あ!凛!』


ビシッと私は友人目掛けて指を指す。
そうだ、そうだ。凛ならー・・・。


そー、そー。と友人が頷く。


「教えてくれるんじゃない?良い友達がいて良かったじゃん」


『…でもなー』


しかし1つ問題がある。


「どうかした?」


『教えてくれるかな、結構めんどくさがり屋なんだよね・・・』


「まぁそれは聞かないと分かんないじゃん?一応聞くだけ聞いたら?」


『うん、放課後ちょっと鮫柄寄ってく』






















***







「断る」



やっぱりねー・・・。
こうなるって分かってたさ・・・。


『凛お願い』再度頭を下げてみる。
しかし、返事はNO。

何しにココまで来たと言うのだ。
しかも案内された場所はプール、半裸の異性ばかりで居たたまれない気分だ。
そして、さっきから視線が痛い。


『な、何でよ・・・こんなに頼んでるのに』


「俺はそんな暇じゃねーよ。だから早く帰れ」


ケッと遂には私の顔すら見なくなった凛。
全く、なんて奴だ・・・。

『うぅ・・・、分かったよ』



仕方がない、諦めよう・・・。
本人がここまで嫌なら強要するのも何だか申し訳ない。
あと、この場から早く立ち去りたい。
あぁさようなら、私の成績。

私はクルリとUターンすると・・・。


「あ、あの僕で良かったら!」


『え』


目の前に立っていたのは知らない男の子だった。


「急にすみません。僕は似鳥愛一郎って言います」


「に、似鳥・・・。」顔を微妙ながら歪める凛。嫌いな子なのかな?


まぁいいや。


『教えてくれるって本当?』


「はい」


『じゃあお願いしようかな!』


「はい、勿論」


ありがとう、と私は似鳥くんの両手をつかみ。
ピョンピョコと跳ねる。
良かった!似鳥くん優しそうな子だし!ラッキー!




「ストップ」



凛が私と似鳥くんの手を叩く、主に私の手を。


『何でよ、ケチ凛』キッと私は凛を睨みつける。
似鳥くんも訳が分からずポカンとしている。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ